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お隣さん



キーンコーンカーンコーン



那美に詳しい話を聞こうとしても顔を赤くしてしどろもどろになるため中々話が進まずそうこうしているうちにチャイムがなり、先生が入ってきた。


「ほらーチャイムはもう鳴ってるんだぞ。全員席に着けー」


ざわついていた生徒たちが先生を見て大急ぎで自分の席に戻っていく。結局那美から詳しい話を聞くことができず朝の会が始まった。

朝の会で先生の話を聞きながら那美の好きな人について考えていた。那美の席が後ろなので振り返って様子を窺うことはできないが、まだ顔は赤いままなのだろう。


(同じ学年なのかなークラスの人や部活動・・・あっ委員会もあったっけ。他の学年と接点そんなにないけどまぁ可能性的には1年生は違うか。2~3年生で今噂になってるかっこいい人っていうと・・・・誰かな?)


あまり噂などに興味がないし、“ガールズトーク”と呼ばれる会話に参加はしているものの名前ばかりで結局顔と名前が一致しない場合が多い。


(確か・・・隣のクラスのえーとなんとか君だっけ?まぁいいや朝の会が終わったら那美に聞けばいいんだし・・・ってあー那美があの調子じゃ話が聞けるのはいつになることやら)


あまりにもぼーっと窓の外を見ていたら実は隣の席だった三橋君・・・に小突かれた。?を頭につけて横を向くと、“前を見ろと”とジェスチャーされ前を向いた瞬間、目の前に体操服が見えた。


「あたっ」


「これはこれはよゆーそうだな、神楽。これなら今日の小テスト・・・・もばっちりだな」


持っていた英語の教科書で頭をポンっと叩かれ、上を見上げれば笑顔の担任がいた。こっちもにこっと笑って言ってみる。


「先生今日って何の小テスト・・・・ですか?」


「この間の授業で教えた10個の英文の暗記・・・・・だ。よし今5つ言ってみろ、言えたら見逃してやる。が、言えなかったら10個の英文20回づつ書いて授業前に提出な」


先生は笑顔のままだが、あきらかに目は笑っていない。授業前といったら10分くらいしか時間がない。きちんと連絡事項を聞いてなかった私も悪いのだがしかし、ここで負けるわけにはいかない。


「えーと・・・

I’m going to get up at six.

Ken is going to study English next year.

Are you going to go to China tomorrow?

Tom is not going to make dinner.

What time are you going to get up tomorrow?・・・5つでいいんですよね?」


「お前はほんとーにかわいくない生徒だな!よしいいだろう俺の負けだ」


先生がさっきとは裏腹に豪快に笑いながら言った。勝利を意味するVサインを掲げると一部始終を見ていた生徒たちから歓声が上がった。先生は私の頭をわしゃわしゃとかきまわしながら、


「だが、人の話は聞くように。それと英語の授業が始まる前に宿題にしてた・・・・・・英文10個を10回ノートに書いたものを全員分集めて俺のとこに持ってくるように」


「はい。すみませんでした」


素直に謝ると先生は手を頭から離し、ポンと軽く叩き“じゃ後は頼んだぞ”と言って教室から出て行った。

私のクラスの担任の先生、円藤三成えんどうみつなり先生(♂)は担当教科が英語で気さくな性格と話しやすい雰囲気により生徒から絶大の人気を誇る我が校のアイドル的存在である。今年のバレンタインは担当している英語のクラスのほとんどの女子からチョコを貰ったとか・・・。驚異の32歳妻子持ちである。

ちなみに連絡事項について隣に尋ねると、宿題のノートを集める人を誰にするかと、そろそろ寒くなってくるから風邪には気をつけろよというお話だったらしい。私に対するお咎めが注意だけだったのがうなずけた。


「よし、では1時間目が英語なので早速ノートを集めまーす!皆私にまでノートを提出してください」


先生と私のやりとりで盛り上がっているクラスの皆に大きな声を出して指示するとざわつきながらノートを持ってくる。どうやら抜き打ちテストとしてやるために宿題にしたらしかったので(私とさっきの先生のやりとりから分かった)宿題をやって来ていても覚えてなかった人たちは前回のノートを見ながら必死に覚えているようだった。ふと見れば今急いで宿題をしている人もいる。


「んー後5分後に持っていきますので、出せなかった人は授業が始まる前に先生に直接出してください」


猶予はあげるけど5分ね。最後の一人にがんばれーという念を後ろの席・・・・の方に飛ばしていると、隣から視線を感じた。不思議な顔で横を見れば、三橋君・・・が珍妙なものを見るような顔をしている。


「どうしたの?」


「神楽って天然で抜けてるけど、変だよね・・・・


「最後の単語おかしいよ三橋君・・・


「まぁいいや・・・それと何度も言ってるけど、俺の名前、三津橋・・・だからね」


「?知ってるよ三橋君・・・


「・・・・・・・」


いきなり溜息をつき始めたお隣さんをますます?が頭に3~4つくらいつきそうな感じで見る。その話を聞いていた前後の席にいた人も同情の視線を彼に向けていた。



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