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1.一目ぼれ

高二になって奈央と同じクラスになった。

学校内では有名なお金持ちで品もあって美人、いつも誰かしら周りに人が集まっている。

だからといってお高くとまっているわけでもなくむしろ今どきの高校生と何ら変わりないところがまた人受けしているのであろう。

初めに声を掛けてくれたのは彼女のほうだった。

私は見た目からか結構気が強そうに見えるらしくあまり声を掛けてもらえない。

そのくせ実のところ自分からは声を掛けられない小心者だったりするのだ。

仲良くなってからは二人でいる事が多くなった。

今まで取り巻きのような人が何人かいたのに私とばかりいてもいいのだろうかと一度彼女に聞いた事があるのだがそれなりに他の人とも交流はあるからいいのだそうだ。

まあ女子同士だし私も彼女べったりと言うわけでもないのでそれからは気にしない事にした。

「愛加って彼氏いるの?」

高二ともなれば恋話も当然の事。

「いないよ~。」

欲しいとは思っているけど。

「奈央は?」

「今はいない。」

「って事は前はいたんだ。」

「うん、まあね。好きな人はいないの?」

いいなあ。

実は私今まで付き合った経験ゼロ。

それなりに好きかなと思う人はいたけれど自分から告白するほど好きだと思えた人はいなかった。

一応、これでも二、三度は告白じみた事はあったけれどまあ嫌いでもなかったけれど好きでもない相手と付き合う気にはなれず遠回しにお断りした。

「いないかな。」

「えー、寂しい。まさか今まで好きな人がいないとか言わないよね。」

「それはないよ。」

「愛加ってさあ、一目惚れとかした事ある?」

「う~ん、どうだろう。」

中三の時に好きだった浅岡君は同じクラスになって顔を見た途端、「あっ、かっこいいな」と思ってそれから卒業まで好意を寄せていた。

あれってやっぱり一目惚れになるのかな?

そう言えば小学校の時好きだった真中君もそうだったかも。

「人を好きなる時って一瞬じゃない?だからほとんどの人ってみんな一目惚れだと思うんだけど。」

「うん、そうかもしれないね。」

奈央の言葉に変に納得させられた気がした。

「なに女同士、ガールズトークで盛り上がってるの?」

突然窓から男の子が顔を出し、私達の話に割り込んできた。

西條 翔君だ。

なんでも超お金持ちのお坊ちゃまらしい。

去年は1組と9組に離れていたからほとんど会った事ないけど噂では女子とは話をほとんどしないって前に同じクラスだった美香が言ってた気がする。

今は2組と3組で隣同士だけれどそれでも接点もないのでもちろん話などした事はない。

初めて近くで見て思わずかっこいいと見とれてしまった。

「翔うるさいわねえ。勝手に立ち聞きなんてしないでよ。」

「夢見る少女って似合わないんだけど。」

「一目惚れしたことないの?」

初対面と言ってもいいくらいの相手なのに思わず声に出して聞いてしまった。

どきりとしたが

「そうよ、翔はしなことないわけ?」

うまく奈央が被せてくれた。

「無いよ。俺までそんな少女漫画の世界に入れるなよ。」

「男子に女子の気持ちなんて分かんないわよ。それに学校で話しかけないでっていつも言ってるでしょ。」

「はいはい。」

奈央とそんなやり取りをして最後にちらっとこちらを見た彼はそのまま去って行った。

さっき彼の事をカッコいいと思ってしまった気持ちを隠し、出来るだけ無表情に顔を引き締める。

「知り合いなの?」

何とか声も何気ない感じに出せたと思う。

「幼馴染よ。愛加、間違ってもあんなの好きになっちゃダメだからね。」

「なんで?」

また違う意味でドキリとしたがなんとかそれを押し込めた。

「あいつはね、悪魔だから。」

もう少し彼の話を聞いてみたかったが変に勘ぐられたら気持ちを隠せそうになかったから私は口を噤んだ。

一目惚れしたかも私。



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