美味しいは正義
料理が次々と運ばれてくる。
フィオナのシーザーサラダから始まり、俺の頼んだポテトサラダ、コーヒー、フライドポテト。そしてルッカが頼んだ一ポンドの大きなステーキ。
フィオナは上品にフォークでサラダを口に運び、ルッカは目を輝かせてナイフとフォークを握りしめ、ステーキを切り分けていく。
「野菜が新鮮で美味しいのはもちろんだけど、この上にかかっているソースがすごいわ! 最初は酸味が強いのに、削ったチーズかしら? 旨みがあってとても濃厚よ!」
上品さを崩さないまま、フィオナは幸せそうに微笑む。
「こっちの肉もすごいぞ! 柔らかいのに弾力があって、上のソースが抜群に合ってるぞ!」
醤油ベースのステーキソースが気に入ったらしいルッカも、満面の笑みで肉を頬張っている。
「美味しいならよかった。こっちもどう? たぶん気に入るよ」
コーヒーを飲みながら、フライドポテトとポテトサラダを勧めてみる。
「これもサラダかしら。野菜の上に何か乗っているわね」
小皿に取り分けたポテトサラダを口に運び、フィオナの目がぱっと輝いた。
「すごく美味しいわ! なんだか懐かしい味がするわね」
その横で、ルッカはフライドポテトを手でつまんで口に入れる。
「これも美味いぞ! サクサクで中がホクホクだぞ!」
二人の食べっぷりを見て、俺も自然と笑顔になる。
「それね、どっちも“じゃがいも”っていう芋を使ってるんだ」
説明すると、二人はそろって目を丸くした。
「じゃがいもって、あの? 毒があるから普通は食べないと思っていたのだけれど」
フィオナが代表して口にする。
俺はむしろ、じゃがいもが異世界にも存在していて通じたことに驚いた。
「毒があるのは芽の部分だけだよ。そこを取れば普通に食べられる」
そう言うと、フィオナは悔しそうに視線を落とした。
「そうなのね……知っていれば、飢饉の時にもっと多くの同胞が救えたかもしれないわね……」
やはり異世界は厳しいらしい。
現代では実感しにくいが、食べたい時に食べられる世界は当たり前ではないのだと、改めて思う。
三人で会話をしながら食べていると、あっという間に皿はすべて空になった。
「ふー、食ったぞ!」
ルッカが腹をさすりながら満足げに言う。
「まったく、上品さが足りないわ。仮にも王女でしょう? もう少し優雅さを心がけなさい」
水を飲みながらフィオナが注意する。
「王位とはほとんど関係ない身分だからな、細かいことは気にしないぞ」
「そういう問題ではないのだけれど……」
フィオナは呆れたようにため息をついた。
「まあまあ、満足してくれたなら嬉しいよ」
二人のやり取りに苦笑しながら、会計のため席を立つ。
「じゃあ、帰ろうか」
二人も同時に立ち上がり、三人でカウンターへ向かった。




