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異世界の王女は現代で異世界の夢を見るか  作者: うあこ
第一章 2人の王女は現代に適応する
5/14

初めてはファミレスで

家を出てすぐ、フィオナを見て気づいた。


「言い忘れてたけど、この世界にはドワーフもエルフもいないんだ。ルッカは幼く見えるだけで問題ないと思うけど、フィオナの耳は目立つから隠した方がいい。悪いけどフードを被ってもらえる?」


 フード付きの服で本当に良かったと心底思う。

 フィオナは驚いた顔で「そうなの?」と呟き、小声で何かを唱えた。


 すると、長かった耳がすっと小さくなる。


「すごいね、それ魔法?」


 聞くと、フィオナは少し得意げに答えた。


「簡単な魔法よ。見る人の認識を少しずらすだけ」


 小さく「フードはあまり好きじゃないのよね」と付け加える。


「森に潜んでこの魔法を使ったエルフは、なかなか見つけられなくなるんだぞ」


 ルッカが横から補足してくれた。


「魔法ってすごいんだね。ところで、何か食べたいものはある?」


 二人に聞くと、「そうねぇ」「そうだなー」と揃って考え込む。

 別の世界だと分かった以上、具体的な料理名が出ないのは当然だろう。それでも、なるべく希望には応えてあげたい。

 二人がここに来たのは、多分あの本のせいだ。せめてこの世界にいる間くらい、不自由なく過ごしてほしいと思う。


「肉だぞ! ガッツリ食べられるのがいいんだぞ!」


「特にこだわりはないけど、野菜多めだと嬉しいかしら」


 希望が出そろい、頭の中に深夜営業している唯一のファミレスが浮かぶ。


「よし、じゃあ店に食べに行こう」


 提案すると、二人は周囲を見渡した。


「そういえば真っ暗だけど今何時なの? というより、時間の概念は同じなのかしら」


 フィオナが首を傾げる。


「確かに、こっちに来る前は昼間だったな。店は開いてるのか?」


 ルッカも少し心配そうだ。


「大丈夫、店は開いてるよ。ずっと開いてるから。時間に関してはね……」


 歩きながら時間の説明をする。途中から伝わっているか不安になったが、


「なるほど、大体同じね」

「ほぼ同じなんだぞ」


 どうやら理解してくれたらしい。ほっとする。


「開きっぱなしで大丈夫なの? 盗賊に襲われたりしないの?」


 なるほど、異世界だと襲われるのか。怖いな異世界。


「平和な国だからね。滅多なことはないよ」


 歩いているうちに目的地のファミレスが見えてきた。


「ほら、あそこがお店」


 指さすと、二人は少し嬉しそうに笑う。楽しみにしてくれているらしい。


 三人で入口の前に立つと、自動ドアが開いた。

 ルッカとフィオナはびくっと体を固くする。


「大丈夫だよ」


 声をかけると、二人はおそるおそる店の中へ入っていった。

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