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異世界の王女は現代で異世界の夢を見るか  作者: うあこ
第一章 2人の王女は現代に適応する
3/14

謎の魔法陣

「で、なんでこんな事になっているのか、誰も分かりませんの?」


 フィオナの言葉で、さっきの光景が鮮明に蘇る。

 机の上で光った本。浮かび上がった魔法陣。そして、気づいたら部屋にいた二人。


 あの魔法陣。あれが何かをしたとしか思えない。


「実はさっき、じいちゃんから貰った本を読んでたんだけど……急に本が光って、魔法陣みたいなのが出てきてさ。気づいたら二人がいたんだ」


 自分で言っていても、荒唐無稽な話だと思う。


 説明が終わるや否や、ルッカが勢いよく身を乗り出してきた。


「本から魔法陣だぞ!? もしかして魔道具なんだぞ!? 見せて欲しいぞ!」


 食いつきがすごい。目がきらきらしている。

 俺は苦笑しながら本を差し出した。


「これだよ。亡くなったじいちゃんの遺品だから、丁寧に扱ってね」


「大丈夫、分かってるんだぞ」


 返事は軽いが、表情は真剣だ。

 ルッカはそっとページをめくる。


「本自体に魔力が込められてるんだぞ……それもかなり大量の魔力だぞ。だいぶ減ったみたいだけど、それでもまだ結構残ってるんだぞ」


 感心したように呟く。その後ろからフィオナが身を寄せて覗き込んだ。


「これが例の魔法陣ね。……巡る因果の魔法陣? どういう意味かしら。何かを指定する一文が全く無いわ。この魔法陣、どうして動くの?」


 全く理解できないと言いたげな顔だ。


 ルッカも顔を上げる。


「不思議なんだぞ。魔法陣自体が珍しいのに、もはや意味不明なんだぞ」


 つまり、二人とも分からないらしい。


 俺は本を見つめながら、小さく呟いた。


「この本が原因だとしたら……無理やり二人を、異世界から連れてきてしまったのかな……」


 申し訳なさが胸に広がる。

 もし本当にそうなら、俺が読んだからこうなったという事になる。


 いや、そもそも。

 じいちゃんがそんな事を意図してやるだろうか。


 あの人は優しかったが、筋を通す人だった。誰かを無理やり巻き込むような事をするとは思えない。


「本当にこれが原因なの? とても信じられないのだけれど……」


 フィオナが困惑した表情を浮かべる。


「これしか心当たりはないよ。魔法陣が光った直後に、二人が現れたから」


 言いながらも、自信があるわけじゃない。


 フィオナは納得しきれない様子で黙り込む。

 その時、さっきルッカが言った言葉を思い出した。『人間は私たちと違って』と聞こえた。


「あの、ルッカって人間じゃないの……?」


 恐る恐る聞いてみると、ルッカは目を丸くした。


「気付いてなかったんだぞ? 私はドワーフだぞ。グラン王国、継承権二十三位。由緒正しいドワーフだぞ」


 胸を張る姿はどこか得意げだ。

 そのまま横目でフィオナを見る。さっきのフィオナの口調を真似ているのが丸分かりだ。


 フィオナがきっと睨む。

 ルッカはすっと視線を逸らした。


「ひとまず、現状ではこの魔法陣が原因かは分からないわ。可能性は高そうだけど。詳しく調べてみるしかないわね」


 フィオナが話を戻す。


 確かに、それ以上は今は進みようがない。

 どうしたものかと考えた、その時だった。


 ぐぅ


 静かな部屋に、はっきりとした音が響いた。


 数秒の沈黙。


「……お腹が空いたんだぞ」


 ルッカが、少しだけ恥ずかしそうに言った。


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