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異世界の王女は現代で異世界の夢を見るか  作者: うあこ
第一章 2人の王女は現代に適応する
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女神現る

上機嫌で風呂から上がってきたフィオナは、思わず息を呑むほどに美しかった。


 ルッカと同じく、天使の輪が浮かぶようなさらさらの金髪。湯気に火照った頬は淡く色づき、その整った顔立ちは現代ではまずお目にかかれない、まさに女神と呼ぶに相応しい。


 思わず見とれていると、フィオナがふいっと視線を逸らし、頬を染めた。


「あんまりじろじろ見ないでよ。恥ずかしいじゃない」


「ご、ごめん」


 俺までつられて顔が熱くなる。


「なんだ、そういう仲になったのか?」


 横からルッカがにやにやと茶化す。


「そんなんじゃないよ!」

「ないわよ!」


 声が綺麗に重なり、ルッカがけらけらと笑った。


「それにしても驚いたよ。シャンプーとリンスだけで、ここまで変わるんだね」


 その言葉に、ルッカは照れくさそうに頭をかく。


「て、照れるぞー」


「日本には化粧品もたくさんあるから、使いこなせばモデルみたいになるかもね」


 何気なく言った一言だった。

だが次の瞬間、フィオナとルッカの目がきらりと光る。


「ほ、本当に色々あるから……買うときはちゃんと調べて、少しずつにしようね?」


 慌てて釘を刺すが、もう遅い。


「これは似合いそうだわ」

「こっちはどうなんだぞ?」


 二人は早速並んで画面を覗き込み、楽しげに相談を始めている。


 仲良くはしゃぐ姿を見て、まあいいか、と小さく笑った。


 夜も更け、そろそろ寝ようと声をかける。


「もう寝ようか」


「そうね」


 フィオナはすっと立ち上がり、部屋の前で振り返った。


「おやすみなさい」


 柔らかく微笑んで扉の向こうへ消える。

ルッカも目を擦りながら、


「おやすみなんだぞ……」


 とふらふらと部屋へ入っていった。


 俺も自室へ戻り、布団に潜り込む。


 ……ふわりと、甘い香り。


 さっきの湯上がりの残り香だろうか。


 ぶんぶんと頭を振り、余計なことを追い払う。

 携帯のアラームを設定し、目を閉じた。



 翌朝、アラームの音で目を覚まし、身支度を整えて部屋を出る。


 すでに起きていたのか、フィオナがキッチンに立っていた。


「軽いものでよかったら、用意したわよ」


 焼きたての食パンに、目玉焼き。コーヒーの香りが広がる。


「ありがとう。嬉しいよ」


 皿を受け取りテーブルへ運ぶ。向かいにフィオナが座り、二人で手を合わせる。


「いただきます」


 同じものを食べているはずなのに、なぜこうも上品に見えるのだろう。


「なんだか、いい匂いがするんだぞ……」


 寝起きのルッカが現れる。

 昨夜はあれほど整っていた髪は、見事に寝癖で跳ねていた。


「ルッカの分もあるわよ。運んでらっしゃい」


「ありがとうだぞ!」


 嬉しそうに皿を持ち、席につく。

三人で囲む朝食、それだけのことが、妙に心地いい。


「今日も仕事に行ってくるけど、外に出るときは車と不審者には気をつけてね」


「わかったわ」

「わかったぞ!」


 二人の返事を聞きながら、なんでもないこの日常が、少しだけ愛おしく思えた。

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