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異世界の王女は現代で異世界の夢を見るか  作者: うあこ
第一章 2人の王女は現代に適応する
16/19

定番は異世界人にも通用します

 暇そうにしていたルッカのためにテレビをつけると、ちょうど始まった番組に食いついた。某アイドルグループが開拓や料理に挑戦する番組らしい。職人に教わりながら船を作る様子を、目を輝かせて見ている。


「そろそろ出来るわよ」


 キッチンからフィオナの声が飛んできた。


「運ぶの手伝うよ」


 そう返して立ち上がる。ルッカは微動だにしない。


 よそわれた料理をテーブルに運び、お茶を三人分用意する。俺とフィオナが席に着いたところで、ようやくルッカが立ち上がった。


「テレビつけてていいか?」


「いいよ」


 嬉しそうに笑いながら椅子に座る。


「今日のメニューは……カレーよ!」


 皿の上には、色とりどりの野菜がごろごろと入り、申し訳程度に鶏肉も顔を出している。どう見ても野菜メインだ。


「肉が少ないぞ!」


 ぶーっと文句を言うルッカに、フィオナは涼しい顔で言い放つ。


「文句があるなら食べなくていいわよ」


 ぐぬぬ、といった顔でスプーンを動かし始めたルッカは、ひと口食べた瞬間、ぱぁっと表情を明るくした。


「美味いぞ! 少しピリッとして、野菜は甘くて、すごく米に合うぞ!」


「当然よ!」


 胸を張るフィオナ。


 俺も口に運ぶ。確かに美味しい。市販のルーのはずなのに、味に奥行きがある。何か隠し味を入れたに違いない。


「フィオナ、すごいよ。ほんとに美味しい。ありがとう」


 そう言うと、彼女は少し頬を赤くして目を逸らした。


「これくらい当然よ」


 料理なんてほとんどしない俺にとって、誰かの手料理は久しぶりだった。田舎にいた頃は、祖父がよく作ってくれていた。


 両親を亡くしてからは、出来合いのもので済ませる日々が続いた。祖父の味も、もうはっきりとは思い出せない。



 でも今、ここでフィオナのカレーを食べているこの暖かさだけは、忘れたくない。そう強く思った。


 食後、皿をシンクに運び、そのまま洗い始める。


「置いておけば洗うわよ」


「料理を作ってもらったんだし、これくらいはさせてよ」


 頼りきりになるのは性に合わない。出来ることは自分でやる。


 ルッカはすでにテレビの前に戻り、楽しそうに笑っている。


 洗い物を終え、買ってきた荷物を広げる。


「布団だけど、空いてる部屋が二つあるから、それぞれ好きな部屋を使っていいよ。決まったら自分で敷いてね」


 布団を一組ずつ渡す。


「あと服。とりあえずサイズが合いそうなのを買ってきた。風呂上がりに着てくれると助かる。それと……」


 少し言い淀んでから、問題の下着セットを差し出す。


「ないと困るかなと思って。無理に使わなくてもいいけど、必要なら」


「ありがたいぞ!」


 ルッカは迷いなく受け取った。


 一方、フィオナは顔を赤くしている。


「……気を利かせてくれてありがとう。使わせてもらうわ」


 小さな声だったが、ちゃんと受け取ってくれた。


 ルッカは布団を抱えて部屋を見比べ、


「こっちの方が広いぞ!」


 と宣言し、さっさと敷き始める。


「しょうがないわね……」


 フィオナは苦笑しながら、もう一つの部屋へ向かった。


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