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異世界の王女は現代で異世界の夢を見るか  作者: うあこ
第一章 2人の王女は現代に適応する
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フィオナの提案

 椅子に座って一息つく。今日の晩御飯はどうしようかなと考えていると、フィオナがおずおずと話しかけてきた。


「ねぇ、ちょっと考えたんだけれど……私が料理を作りましょうか?」


 一瞬、言葉の意味を飲み込めずに間が空く。


「えっ?」


 思わず間の抜けた声が出た。フィオナが料理を?王女だよな……。作れるのだろうか、と不安がよぎる。いや、それはさすがに失礼だろうと慌てて打ち消す。


「作ってくれるの?すごくありがたいけど、無理しなくても大丈夫だよ?」


 そう言うと、フィオナは小さく首を振った。


「無理じゃないわ。これからしばらくお世話になるわけですし、できることはしたいと思っただけですわ。それに……」


 言葉を切り、タブレットの画面をこちらに向ける。そこには料理のレシピサイトが表示されていた。


「調べれば何でも出てくるのよ。私、料理は好きなの。任せてくれない?」


 自信ありげなその表情に、俺は素直に感心した。王女だから料理はできないのでは、なんて少しでも思った自分が恥ずかしい。


「すごく嬉しいよ。それなら食材を買いに行かないとね」


 財布を手に立ち上がると、ルッカもスマホを突き出してきた。


「見るんだぞ!ここでセールをやっているんだぞ!」


 フンッと鼻を鳴らしてドヤ顔だ。


「ルッカもありがとう」


 近所のスーパーのセール情報まで見つけてくるとは、なかなか侮れない。


「せっかくだし、三人で行こうか」


 二人を連れて家を出る。外はすっかり夕方で、太陽はもうすぐ沈みそうだ。


 歩きながら、ふと思い出す。


「あ、服も買いに行かないと。そうだ、布団もだ」


 頭を抱える。近くに大型のディスカウントストアはあるが、スーパーにも寄るとなると、どうしても手間が増える。


「食材なら、私とルッカで買いに行きましょうか?」


 フィオナがそう提案してくれた。正直、ありがたい。


「大丈夫?お金の計算とか、スーパーの場所とか」


 確認すると、フィオナは穏やかに微笑む。


「もちろんよ。必要そうな知識はちゃんと学んだわ。分かる範囲だけれど。スーパーはさっきの広告に住所が載っていたし、問題ないわ」


 スポンジみたいに知識を吸収する、その地頭の良さが少し羨ましい。


「ルッカは動画ばっかり見てたから、分からないんだぞ!」


 なぜか胸を張るルッカに、思わず笑ってしまう。


「私がちゃんと見ておくから大丈夫よ」


 やれやれという顔のフィオナ。けれどルッカはまったく気にしていない。


「じゃあ、お願いしようかな」


 数枚のお札を小さな巾着袋に入れて、フィオナに手渡す。


「悪いけどお願いね。布団と、とりあえずの服を買ってくるよ」


 二人と別れてディスカウントストアへ向かおうとすると、なぜかルッカが当然のように俺の後ろについてくる。


 するとフィオナが無言でルッカの襟首をつかみ、そのままスーパーの方へ引きずっていった。


「そっちじゃないんだぞー!」


 夕暮れの道に、そんな声が響いた。

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