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異世界の王女は現代で異世界の夢を見るか  作者: うあこ
第一章 2人の王女は現代に適応する
11/15

出勤前に

食事を終えると、食器をシンクに片付けて再び椅子に座る。仕事に行かなければならない。2人には留守番を頼むしかない。


「俺は仕事に行かなきゃだから、家で待っててほしいんだ。夕方には帰るから」


 そう言って、しまい込んでいた辞書と、紙に簡単なあいうえお表を書いたものを手渡す。


「言葉が分からないと不便だろうから、これで勉強してみて」


 受け取った2人は頷きながら、「この音がこの文字で……」とか「この言葉はこう書くんだぞ!」と、すごい勢いで覚えていく。


 ものの数分でマスターしてしまった2人に唖然とする。だが正直助かるので、素直に感謝する。


 あっさりと言葉を覚えた2人に、改めて1台のタブレットを手渡した。


「これは?」

「なんだぞ!?」


 フィオナは不思議そうに首を傾げ、ルッカは未知の道具に目を輝かせている。


「これはタブレット。簡単な操作だけ教えるね」


 使い方を教えると、2人とも驚くほどの速さで使いこなしてみせた。


「これは便利ね。この世界の事が色々調べやすくなったわ」


 フィオナは興味津々で画面を見つめている。


「これは凄い道具だぞ!いんたーねっとというのも凄いんだぞ!」


 隣から覗き込みながら、ルッカがはしゃぐ。


「これひとつしかないんだぞ?」


 手持ち無沙汰そうに聞いてくるので、以前使っていたスマホを押し入れから引っ張り出して渡す。


「操作はタブレットとほぼ同じだから」


 ルッカはさっそくスマホを触り始めた。


 2人とも夢中になっているので、ぱんぱんと手を叩いて視線を集める。


「今から仕事に行くから、家にいてね。そのスマホとタブレットは自由に使っていいから。あと冷蔵庫。この冷える箱ね。この中に食べ物を入れてあるから、こっちの電子レンジで温めて食べて」


 電子レンジの使い方も簡単に説明すると、ルッカは「いつでも暖かいご飯が食べられる道具、凄いぞ!」と興奮している。家電を見るたびにこうなるのかなと、思わず笑みがこぼれた。


 玄関へ移動し、靴を履いて鞄を背負うと、2人に向き直る。


「来客は今日は無いと思うけど、たまに物を売りに来る人が来ることもあるんだ。買うつもりは無いから、出なくていいからね」


「分かったわ」

「分かったんだぞ!」


 2人の返事を聞き、「行ってくる」と声をかけて扉を開けた。


「さて、これからどうしようかしら」


 フィオナは静かに考える。召喚陣が書かれた本を調べ、帰る方法を探すのが第一だろう。けれど、手渡されたタブレットでこの世界の事を調べるのも悪くない。いつまでここにいるのか分からない以上、この世界について知っておくことも必要だ。


 そんなフィオナの横で、ルッカは楽しげにスマホを操作している。


「何を見ているのかしら」


 フィオナが覗き込むと、ルッカは職人が手作業で鉄芯を束ね、ナイフを作る動画を食い入るように見ていた……

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