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特別室での内緒話

 食堂に着けば着いたで、やはり視線をすごく感じる上にひそひそと話す音が聞こえる。


「あなたといると、とても注目されるのね」


 感心して思わずこぼしてしまった。


「ライオネル! 彼女がクレア嬢か?」


 ライオネル様の肩をたたいて微笑む眩しい容貌の人が来た。第一王子殿下のアルバート様だ。迷ったけれど堅苦しさを控えめに挨拶することにした。


「殿下におかれましては、ご機嫌麗しく……」

「やめてくれよ。アルでいい。ライオネルの良い人だからね」


 微笑んでウィンクまでされて驚く。

 そう言われましても、と心の中で返していると、殿下が特別室へ誘ってくれた。

 特別室は食堂近くにある個室で、特別華美というわけでもなくシンプルな設えで、落ち着いた。


「メニューは同じだけれど、静かだからいつもここで食べているんだ」


 殿下が気さくに話してくださるが、何を話して良いかわからない。


「実は、アル殿下には前世の記憶とゲームの話をしてある」


 驚くことをライオネル様が話し出した。殿下が頷く。


「ヒロインは見つかったのかい?」

「候補はいます」

「接触してる攻略対象は?」

「あの……攻略対象ってつまりどなたですか?」


 おずおずと聞いてみる。


「君が話していたケネス=アルウェッグが騎士団長の息子。他に魔法師団長の息子のルーク=フィールディング。教師のアーネスト=ハモンド。先日言った第二王子のフレデリック」


「他にもいるんだが第一部だとこんな感じだな」

「アルバート殿下は?」

「いいところに目をつけたと言いたいが、第二部はまだ開発中で、いわゆる追加キャラだったんだ。アル殿下とスウェイン王国からの留学生のサイラス王子が加わる」

「そういえば、私は悪役令嬢と言われましたが、他の方には婚約者はいないのですか?」

「いない。ゲームとして考えたときに、婚約者のいる浮気性の攻略対象と恋をしたいと思わないだろう? 君は特別だったんだ」

「それもそうですね。現実のこの世界ではどうなんですか?」


 話を聞いていた殿下が答えてくれた。


「私には内々で決まっているマリーがいるけれど、他の人は聞かないかな。選び放題とは思うけど決めてないね」

「あの、婚約破棄のお芝居は第二王子殿下のためとお聞きしていますが、すでにヒロインと出会っているのではないのですか?」


 殿下とライオネル様が顔を見合わせてからため息をついた。


「君が6歳のときに茶会を欠席してから、すでに話が変わっているのだと思う。政務においてはまあまあ優秀なんだが、女性相手はなぁ……」

「婚約者はいるんだけどね」


 なんと言って良いかわからない状態だった。


「クレア嬢と学年は同じだから、そのうち会うよ」

「……学園に入りたくなかったわ」


 思わず、本音が漏れた。本当は領地にこもっていたかったのだ。

 

「まあ貴族は義務だからね」

「話が変わっている以上、ヒロインが誰を選ぶとか関係なく、国の危機が訪れるのではないですか?」

「可能性は高いね」

「旱魃と冷害、流行り病に関しては対策してあるんだが……ついでに地震も警戒している」

「スタンピードと竜害がどうにも。騎士団は強化しているんだが、ヒロインの力も欲しいのが現状だ」

「戦うということは、ケネス様かルーク様を選んだ場合ですか?」

「……その通りだ」

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