報・連・相
「近く花竜祭があると聞いたのだが」
「竜王様を祀る祭りですね。明後日からで年々規模は小さくなっていますが、村中が花にあふれて綺麗なお祭りなのでぜひ見ていってください。」
「ありがとう、楽しみに来たんだ」
「あの近くの山に竜王様がいるとの言い伝えがあるんです」
「それは神秘的だな」
私たちを迎えた部屋は予想外に素敵で驚いたのだった。
その日の晩、テーブルの上にお兄様が水晶を置いて、話し始めた。
え? 遠くの人と話せるの? 私は目を見開いて凝視してしまったけど、ライは普通だったから今までも話していたのだろう。マイラは神妙な顔をしていた。
「こちらグラハムです」
「アルバートだよ。問題はないかい?」
「今はサンデスの宿です。ここまで順調にきました。山に竜王が住んでいるとの伝説があります。本当に住んでいるかはわかりません」
「具体的に住んでる山の伝説があるのか」
「はい。古くは住んでいたのかもしれません」
「山が遠くなかったら調査したいところだな」
「そうですね、祭りは明後日とのことなので明日にでも麓まで行ってみます」
「ライオネルはいる?」
「ここにいます」
「羽目は外してない?」
「こんなとこで揶揄わないでください!」
水晶からは笑い声が聞こえて、その後に切れたようだった。少し情けない顔でライがこちらを見たのがちょっと可笑しかった。
「明日は少し遠くまで歩くよ」
そう言われて、旅行の話を聞いた日に潜入捜査だと言われたことを思い出した。
「マイ、何か気になることがある?」
ライがマイラの顔色を気にしたようだった。
「今は、まだ言葉にまとまらないわ。でも山は気になるわよね。
あと、もしかしてスウェイン語が苦手なのは私だけ?」
あれ? 翻訳って転生特典なのかもと少し思ってた。ライの顔を見ると
「子供の時から勉強させられたしな」
と言われた。英才教育!
「もしかして文の翻訳だけじゃなくて、話し言葉もわかる?」
苦笑いした私は、婚約した日に嘘をついたのがバレたのだった。
「マイラ、私は魔法で言葉がわかるから、いつでも通訳するわ」
「ありがとう」
作中のクレアの魔法って翻訳だったかしら、書いてなかったかしら。
マイラの小さなつぶやきは、ライに拾われて
「話がゲームとは変わっているんだ」
ライの言葉に繋がった。
「俺の魔法は錬金術だよ。予測通りだろうけど」
お兄様の言葉に、なるほどという顔をライもマイラもしていたが、少し微妙なのはもしかしたらゲームのグラハムとは違うのかも知れない。
「今更なんだけど、グラハムさんが作った通信水晶は、2つだけなんですか?」
「そうだな、陛下に追加で2個頼まれたな」
「2個ならケネス達と魔法師団長が持ってるんじゃないかな」
ケネス様! そういえば見送りにいなかったわ。今更なことを思い出したのだった。
明日は山まで歩くのね? あれ? 馬車でどこまで行けるのかしら、その疑問を聞きそびれて、夜は更けていくのだった。




