表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/31

スウェイン王国

 国境は、ミルド共和国のときと同じで問題なく超えられた。馬車では、皆が眠ってしまい、あっという間に昼になった。


「サンドイッチに入ったエビがぷりぷりして美味しいわ」

「そうね、エビはフェイムでは食べられなかったから嬉しいわよね」


 マイラがうなずく。

 具を選んで作ってもらえたサンドイッチだけど、ライ達のものは薄切りのお肉がこれでもかと入っていた。ソースはミルド共和国らしい味とのこと。


「ひとくち食べてみるかい?」

「でも」

「今は貴族じゃないし、私たち以外誰も見てないしね」


 お兄様は見ているけれど、興味に負けてひとくちもらうと、マヨネーズのようなソースと少し酸味のある黒いソースが層になっていて、意外とサッパリしていた。


「こっちも美味しい」

「うん。ソースって瓶詰めとかで売ってるのか気になるね。グラハムさんが詳しそうだけれど」

「売ってはいるけど、そこまで日持ちしないから、輸入商品としては扱ってないんだ。レシピを買うのを検討してもいいな……」


 さすがだった。お兄様が商会に入ったのは、確かお米を輸入する時だったと聞いている。

 それまでお父様がささやかにやっていた商会が、どんどん大きくなったのだ。

 王宮御用達ではないけれど、何を扱っているのかもうわからない。


 昼過ぎに賑やかな街に着いた。馬の休憩とおみやげの購入で、一度馬車を降りる。


「チョコレートもいいけど、帰るまでに溶けそうね。保冷庫まで買うわけに行かないし」

「仕入れ用の馬車じゃないから、やはり工芸品がいいかな」

「彫刻品って微妙な物が多いわよね」

「こっちは磁器の食器があったはずだ。好きな絵柄を選んでごらん」


 私達は食器の店に寄った。お兄様はここでも仕入れたりしないわよね? 珍しい猫の絵柄のカップに目を奪われていると、お兄様が頷いて購入してくれた。


「家族の席にはそういう柄もいいんじゃないか」


 マイラは青い小花のカップを見ていた。縁取りは細く金で、可愛いのに華やかなデザインだった。


「こんなに繊細なもの、私達の馬車に載せて割れないかしら」


 マイラの心配はもっともだ。結局、送ってもらうことになった。

 良い買い物なんだけれど、持って帰れるわけじゃなく、お土産としてどうなんだろうと思っていたら、店員さんがカバンや革細工はどうかと提案してくれた。デザインがフェイム王国とは違うらしい。


 2件隣のカバン屋さんにも寄った。つやつやで鮮やかな色の小ぶりのハンドバッグがあったので、お母様にはそれの赤い色を選んだ。


 マイラは金具の装飾が綺麗なハンドバッグを選んでいた。装飾は綺麗だけれどどこか力強く、機能美を追求したようなそれは、侯爵婦人に似合うのかなと姿を思い出していた。


 ライは革張りのペンを見ていて、私もお父様にそれを買うことにした。


 そうして一路、西へ向かう。

 夜には長閑な景色を抜けて村のようなところに着いた。スウェイン王国の西の領地、サンデスだ。村と言っても宿くらいはありそうな大きさだ。


 野営よりはいいだろうと、取れた宿は村で一番良い部屋で、たまに視察に来る王族が泊まるとの事だった。値段はともかく1部屋しかないのは少し問題だった。


 ツインのベッドと、従者用のベッドが1つで宿の人が困っていた。あまり理解していないマイラに内容を伝える。スウェイン語はあまり得意ではないのかも。


「私はレイと寝るから大丈夫よ。VIP用だけあってベッドも広いわ」


 宿のご主人が安堵しているのが見えた。お兄様がサインをすると、不思議そうにライの顔を見て、マイラの顔を見直しては驚いていた。お忍びとバレたのだろうなと思ったけれど、たいした問題ではないと思っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ