表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/31

兄という壁(ライオネル視点)

 クレア達との食事も終わり、男部屋に戻った。

 

「酒でも飲むかい?」

 

 少し驚いてグラハム卿の顔を見た。そういえばこの世界では、20歳にならなくても飲めたんだな、と思い直して応える。

 

「少しなら」

「じゃあ階下に行こう。情報が集まるかも知れない」


 目的を思い出し、置いていかれなかったことに感謝した。


 


 出発の前々日は国王陛下に、ひとり呼び出されていた。人払いされた応接室で話した。

 

「たまには二人で話そうと思うてな」

 

 そう、アル殿下がいないことを伝えられた。


「アルバートが君の特異性に気づいたのは薬を作り始めたときと聞いた。相違ないか?」

「そうです、研究を頼もうとした方が殿下の家庭教師も兼ねていたらしく、研究を始める前、すぐにバレてしまいました」


 陛下は優しく頷いた。知っていることの確認なのだろう。

 

「アルバートはその時、何か言っていたかな?」

「君は何が見えてて、何を知ってるの? みたいな感じです」

「そうか。秘密を話したライオネルに免じて、わしの秘密も1つ話そう。

 全員ではないが王族は真実か嘘か見抜けるんだ。心が読めるわけじゃないし、万能ではないんだが」


 私は驚きを隠せなかった。殿下がなぜ信じてくれるのか不思議に思ったことはあったけれど、すとんと腑に落ちた。


「やはり次の王はアルバートだな。王妃がフレディを可愛がっていて面倒だが」

「フレデリック殿下が王太子になる可能性もあったのですか?」

「貴族共の人気が高いのは無視できなくての。御しやすいと思われているのだろうが王妃の意向もある」


 そこまでフレデリック殿下の勢力が強いとは思ってなかった。何しろ頭の良さがアルバート殿下と差があったからだ。口に出しては言えないが。

 

「国が割れないといいのですが」

「さすが次代の宰相というところか。だから、今回は成果を上げてこい。アルバートの手足としてな」

「御意」


 今日の陛下は饒舌だ。ふたりしかいないから無言でも困るけれど。


「グラハムからは水晶のような通信機を受け取った。対の通信機はグラハムが持っておる。報告は怠らないこと。

 それから、あの才は見逃せない。必ず国に連れて戻るように」

「はっ」


 陛下から見てもグラハム卿の能力は群を抜いているのだろうな。


「今回、ケネスは護衛部隊に入れた。騎士団長からごねていると聞いたしちょうど良かった。魔法師団長とルークは領地に戻って森を警戒してもらうことにした」

「見事な布陣かと」

「アーネストは、今回はいいだろう。交渉事があれば使えるが、ライオネルもグラハムもスウェイン語は使えるだろうしな」

「はい」


 交渉があれば頑張ろうとその時は思っていた。




 陛下とのやり取りを思い出しつつ、ちびちびと酒を呑む。割ってあるが軽くはなく、鼻に抜ける柔らかな香りはウイスキーを彷彿とさせた。


 前世はそれなりに呑んだが、17歳の今はどれくらい呑めるんだろう。


「顔に出ないのか、強いのか、酔いがわからないね」


 驚いて顔を触ってしまう。


「感情は顔に出るんだ」


 グラハム卿に忍び笑いをされる。クレアと7歳違うと聞いた。まだまだ年齢は若いよなぁ?


「ライは何歳まで生きていたんだ?」

「あ……

 記憶があるのは35でした。職場で1チームを任されるくらいの年齢です。」

「クレアは幼く感じないのかい?」


 試されてる? 酔ってる?


「おじさんの記憶もあるけど、この世界で子供として生きた記憶もきちんとあるので、妙な話に聞こえるかもだけど、きちんとクレアを愛しく思ってます」


「……そうか」


 微笑んだと思ったら、もっと呑もうと言い出した。私はこの大きな人に少しでも認められたんだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ