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ライオネルの過去

 翌日にはアスター侯爵家から、求婚状が届いた。伯爵家の我が家が断れるはずもないけれど、上を下への大騒ぎ。


「そういえばダンスをしていたな?」


 とお兄様が思い出したように言う。


 お兄様は私が転生者だと知る唯一の人だ。記憶が曖昧な子供時代に、妙なことを言う私を支えてくれた。そして特異な私を隠しながらも欲しがるものを作ってくれた人だった。


 家族に説明をする間もなく、赤いバラ5本と小箱を携えたライオネル様が現れた。突然すぎる。騒いでいる間に先触れに気づかなかったなんてあるのかしら。


 赤いバラには本数に意味があるのは知っている。5本ってなんだったかしら。そんなことを思いながら、受け取ったバラを飾るように侍女に伝える。


 少し考え事をしていたら、大振りなピンクダイアモンドの指輪が薬指に通される。指輪を薬指につける習慣もやはりこの国にはない。


 彼にも記憶があることを認めるしかなかった。


「ダンスではサイズが測りきれなかったから、合って良かったよ」


 などと驚くことを言う。昨日の今日なのに本気が過ぎる。

 

「なんの特技も私にはないのに。それに、政略結婚はしたくないの」


 断れなくても、足掻いてみる。

 

「そう来るとは思っていたけれど、私と恋愛をすれば問題ない」


 口角を少し上げ、自信めいた瞳で言い切る彼の視線に、言葉にときめいてしまった。もう心は囚われ始めていて、私は逃げる事を諦めるしかなかったのだ。


「庭でもご案内してあげなさい」


 お父様が言うので、庭に行く。その間に応接室を整えるのだろう。侯爵家の子息に自慢できる庭ではないが、向かう。


「この庭のアイデアは君が? 丈のある宿根草がかわいいね」


 彼自身は隠す気がないらしい。生前流行ったイングリッシュガーデンを参考に、花々の高低差を利用して整えるように庭師に提案していた。


「ここの世界が、いわゆる乙女ゲームだと君は知っていた? 悪役令嬢のクレア=バートン嬢」


 私は首を横に振った。


「そうかも知れないと思ったことはあるけれど、作品名も私の役割も知りませんでした」


 私の記憶が戻ったのは、幼少期によくある高熱を出したときで、混乱はするもののはっきりしたことは思い出せなかったのだ。ただ、高位貴族と関わるのは避けた。


「6歳の頃、子供同士のお茶会の招待状が届かなかったかい? そこでフレデリック第二王子殿下に見初められて婚約する予定だったんだ」

「アスター様は、お詳しいのですね」

「ライオネルと。婚約するのだから」


 婚約は決定なのね……


「私は前世、そのゲームを作っていた会社にいてね。それには、流行っていた小説を取り入れて悪役令嬢がいたんだ。と言っても派手な断罪はなかったけれど」


 大人びていると思ったけれど、実際に見た目以上に大人だったのね。

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