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19/30

密命

 予定通り放課後は我が家にマイラを連れて来た。学園から料理長に宛てて速達でメモを送った。フルーツ入りのパウンドケーキとプリンとキッシュを頼んでおいたの。


 応接室に行くと、メイドたちがローズティーとお菓子の用意をしてくれた。帰宅の知らせをお兄様にしてもらうように頼む。


 紅茶が冷めないうちにお兄様がやってきて、ホッとする。


 私とマイラが隣り合って座る。向かいのお兄様の前にはコーヒーが置かれた。


 香りが漂ってきて、私もカフェオレにすれば良かったと思ったけれど、話があるというくらいだから、2杯目に飲もうと思う。


「早速だけど、スウェイン王国に旅行に行くことになった」


 スウェイン王国に? と思って尋ねる。

 

「お兄様が?」

「俺も行くんだが、今回は君たちにも一緒に来てほしい。その話をするために呼んだんだ。

 マイラ嬢には申し訳ないと思うんだが、陛下の采配で転生組と俺とで潜入調査をすることになったんだ」


 予想外の答えが返ってきた。

 

「「陛下!?」」

「そうなんだ。アルバート殿下に会いに行ったら陛下とライオネル卿がみえてね。

 だいたいのゲームの話は俺も聞いたし、陛下も把握されたんだ」


 ゲームの話、マイラを招いたお茶会ではしなかったけれど、お兄様も知ってしまったのね。

 

「そう……だったのね……」

「ライオネル卿によると、戦争の原因は細かく描写されていなかったらしくて、戦争になりそうか、原因は何か調べることになった」


 お兄様の説明に、マイラが補足で答えた。

 

「確かに戦争の原因を取り除いたとしかなかったわね。お祭りのようなところで、買い食いした話はあった気がするけど」

「祭り?」

「デートイベントなのよ。でも待って。大きな街の市かもしれないわ」

 

 お兄様が思案する。

 

「スウェイン王国のどこに行くか、実は行き先が決まってなかったんだ。ちょうどいい。この時期の祭りと言えば花竜祭だけだろうか」

「花竜祭?」

 

 初めて聞く名前に、首を傾げる。大きなお祭りなのかしら?

 

「スウェイン王国の西の地方、霊山のあるあたりでは、花の咲く時期に竜を称える祭りをするんだ」

「竜を祀っているのね」


 フェイム王国では見たことがないけれど、魔物や魔獣がいるなら竜がいてもおかしくないと思う。

 

「もしかして陛下は……。陛下の読みは正しかったのかも知れない」


 何かに気がついたように、お兄様がつぶやくと、マイラも少し考えたあとで言葉を重ねた。

 

「竜が本当にいて、隣国から森に降りたらスタンピードが起きてもおかしくないわね」


 お兄様が深く頷いた。

 

「そうだな。陛下の提案した旅行の名目は、もともと花竜祭の観光だったから、本当にそこに行こう」


 決定事項のように言われたけど、一つ気になってた事がある、この場にいない人のことだ。

 

「転生組ということは、ライオネル様も行くの?」

「そのとおり。部屋は同じにしないぞ」

「わ、わかってるわよ」


 焦って答える。お兄様にからかわれるなんて思わなかったわ。

 

「俺たちもお忍びだが、たぶん、隠れて護衛もつくと思う。侯爵家と王家から」

「王家から!?」

「もう子供たちで解決できる話ではないと判断されたんだ」

「マイラ嬢の家にも王家から連絡が行くと思う」

「王家から……。どんな手紙がわからないけど、ケネスが付いてこないか心配ね」

「ケネス卿か……

とりあえず君たちはお忍び旅行の用意をしてほしい」


 お兄様は、要件だけですまないと席を立った。


「ささやかだけど、君たちにプレゼントしようと思ってレディドリィを呼んでおいたよ。お菓子を食べた頃には来ると思う。お揃いなんかも可愛いんじゃないかな」

「レディドリィって?」

「お兄様の商会のドレスショップよ!」


 私は気持ちが沸き立った。マイラは目を丸くしていたけれど、とても嬉しそうだった。思わずマイラの手を掴んで跳ねてしまったわ。

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