表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/27

期待と恐れ

 お兄様さまは王宮に行ってから、纏う空気が変わった気がする。


「今日、学園から帰ったら話があるんだ。マイラ嬢も一緒だとありがたい」

「うん、わかった。急だけど来れるか聞いてみるね」


 我が家に招いてからマイラとはとても仲良くしている。登校すると、隣のクラスへ行ってマイラに話しかける。

 

「おはよう。急なんだけど、今日の放課後、時間をもらえないかしら。お兄様が私たちに話があるみたいで、我が家に来てもらいたいの」

「グラハム卿が? もちろん行くのは問題ないけれど、なんの話なのかしらね。見当もつかないわ」


 また、あとでと別れて授業を受けた。スウェイン語の授業は相変わらず私には退屈だ。そもそも自動翻訳できてしまうから、もともと何を言っているのかわからないのだ。

 

 ハモンド先生は、今のところ誰とも接触していないから、このまま何も知らないままでいてもらうのがいいと思う。


 ルーク様も廊下で会った日以来、会ってはいない。


 ケネス様は今日も隣の席だけど、ヒロインの義兄になったから、ルートはないのかしら。


 マイラは誰も選ばないと言ったけれど、お兄様のことを推しとも言っていたわ。お兄様はどうなのかしら。


 特に当てられることのない授業は、格好の思案タイムとなる。つらつらと思考の海に沈むのだった。


 昼休みになると、ライオネル様が迎えにくる。食堂に行っても注目されることはなくなってきた。


 ランチは、今日は魚を選んでみた。白身魚のムニエルだ。海が遠い我が国では魚と言えば川に生息するもので、マスに似た魚で魔魚かも知れない。何度か食べたけど、とても美味しい。


「クレアは好き嫌いはないの?」

 

 ライオネル様に聞かれた。ライオネル様は肉をきれいに切り分けながら食べていた。


「そうですね、前世ではウニと納豆が苦手でしたが、ここにはありませんし。甘いものはやはり好きですね」

「じゃあ、またカフェに行こう」

「今日は早く帰らないといけないの。お兄様からお話があるみたいで。マイラも一緒なの」

「そうか……」


 残念そうなのに、みじんも驚かないライオネル様は何か知っているのかもしれない。何となくそう思った。

 

「マイラと一緒と言っても驚かないのね」「あ……いや」

「何か知っているのね」

「ごめん、学園では話せないんだ」


 視界の端の方で、金髪の男性にピンクの髪の女の子がぶつかるのが見えた。

 

「エミリアだわ。それと……第二王子殿下?」

「こちらに被害が起きなければ捨ておこう。

 フレディ殿下は、婚約をやめたりしないだろう。それに子爵令嬢では王子妃になれない」


 私はなるほどと思って頷く。


「クレアも目移りしないでくれると嬉しい」


 テーブルに置いていた手にライオネル様の指が絡まる。驚いて顔を凝視すると照れたように小さく笑っていた。こんなところで、と思うと心臓が早鐘を打つけれど、振りほどくことはできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ