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父親の威厳(ライオネル視点)

「するとなにか、ライオネルの視た未来では、これから1年以内に起きる危機として、6通りの想定があると」


 陛下の総括に殿下と私が頷く。

 

「疫病、旱魃、冷害、スタンピード、竜の襲来、戦争。少女の選ぶ相手で未来が変わるなんぞまるでゲームのようではないか」


 やはり陛下は陛下だ。信じておられるかはともかく、理解が早い。


「私は予言者ではありません。荒唐無稽な話と思われるでしょうが、別の世界で生きた記憶があるのです」


「まあ一旦それを信じるとして。

 戦争がやっかいかの。そんな気配はなかったが」

 

「未来は変えられると信じています。フレデリック第二王子殿下とクレアが婚約しなかったように」

「フレディの婚約を固くするために芝居を企て、自らも婚約者を置いて道を塞いだか」


 否やを伝える前に、今まで一言も話さなかったグラハム卿が思わずという顔で叫んだ。


「そんなことでクレアと婚約したのか!」


 一拍おいてグラハム卿は絞り出す。


「クレアじゃなくても良かったじゃないか」


 その言葉に胸が詰まった。深い愛情を感じてしまったからだ。クレアがいいんだと、どう伝えればよいのか。


「そこなグラハムが妹と婚約すれば戦争が起きないならその方が良いんじゃないか」


 陛下が意地悪そうに言った。


「それは!!」

「良い。顔を見ればわかる。青いのう。

 運命を握る少女は、マイラ=アルウェッグと言ったか。だが、選んでも選ばなくても、起きるかも知れない未来……か」


 陛下が、熟考する。

 

「どうも、全ては竜の存在に繋がっていると想像できるが、竜の言い伝えは隣国の話だからな。慎重に進めねばならん」

 

「まずは、わしはフィールディング辺境伯に連絡を取ろう。魔法師団長の父親でまだ現役だ。

 ライオネルとグラハムは、クレアとマイラと隣国に旅行に行ってもらおうかの」

「「……御意」」

「父上、できれば俺も行きたいのですが」

「アルバートよ、王子が動けば警戒されるから却下だな」


 殿下が肩を落とした。変装してもバレる可能性は高いし、暗殺となれば目も当てられない。先程の発言で、緊張が和らいだらしいグラハム卿が発言する。


「殿下には通信の魔導具をお持ちしようと思います」

「このイヤリングではなくてか?」

「遠距離には大きいものが良いでしょうから」


 まだ何か道具があるのか。ゲームより何倍も優秀なグラハム卿を見る。彼からクレアを奪ったのだと思うと心が痛むが、私も引きたくはない。

 認めてもらえるようにがんばらねば。諦めてもらうとも言うが。


「旅行の名目はそうさの。花竜祭への視察と観光でいいか。学園にはわしも伝えておく」

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