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アフタヌーンティー

 自分なりに可愛いカードを作って、封蝋をしてアルウェッグ家に届けてもらってから数日、お茶会の日が来た。


 マイラ様の手土産はアルウェッグ家お手製のゼリーだった。驚いて尋ねると秘密を共有するような、悪戯な顔で

 

「実は侍女が氷魔法を使えるから適温なのよ。アイスも持ってこれるわ」


 と、教えてくれた。アイス! 魅力的な言葉だわ。


 今日は晴れて良い気候なので、庭にテーブルを用意していて、早速ゼリーも並べてもらった。今の季節の庭は、草花だけでなくバラも咲き始めている。


「素敵なお庭ね。植物のハーモニーが凝ってるわね」


 マイラ様がおっしゃるのでお礼を言う。とても嬉しい。

 

「ありがとう」


 席につくと、マイラ様が目を丸くして言った。


「スコーンにきゅうりのサンドイッチ! 3段のケーキスタンド。なんだか懐かしいわ」

「スコーンはレシピを覚えていたの。クロテッドクリームの再現は出来ていないわ。

 きゅうりとスタンドは前にお兄様に探してもらったり作ってもらったの」

「グラハム卿ってすごいのね。紅茶の香りも素敵だわ」

「それでね、マイラ様」

「もう、よそよそしいわね。マイラでいいわ。わたしもクレアと呼ばせてね」


 うん、と頷きながら話を続ける。


「今日はふたりで話したかったんだけど、たぶん間違いなくお兄様も来るわ」

「まあ! やっぱりこの世界でもシスコンなのね。愛されてるわね」

 

 乗り出すように、わくわくしてマイラが言う。

 

「心配性なのよ。初めてのお友達だし。

 それに、お父様も窓から覗いてるかもしれないわ。」


 私は火照った頬に手を添えた。マイラは、とても楽しそうに微笑んだ。


「うちのケネスも連れてくればよかったかしら」


 私が驚くと、


「嘘ウソ。あの人、口下手すぎて。お茶会には向かないわ。

 実はね、授業中のことだけど、ピンクの髪の女から逃げてて、クレアの近くにいるのよ」

「ピンクのってエミリア?」

「そう。やっぱり気になるわよね。それにクレアの悪評を流そうとしていたから、ケネスもクレアが気になっていたみたい」


 悪評……は、アルウェッグ様が近くにいるからではないかとも思ったけれど。

 友達がいない私も良くなかったかしら。でも、どうやったら自然に友達ができるのかしらね。マイラを見つめた。


「とにかくあのエミリアは要注意なのよ。転生者なのかプレイヤーなのか偶然なのか」


 そんな話をしていると、突然柔らかいテノールの声が聞こえた。


「やあ、面白い話をしているね。はじめまして、兄のグラハムです」


 マイラは席を立ち綺麗なカーテシーをした。

 

「アルウェッグ家のマイラと申します。よろしくお願いします」


 メイド達がすっとお兄様の分の椅子を持ってきた。やっぱりあの隅にあった椅子ってそうだったのよね。


「要注意って言葉が聞こえたけれど、クレアはいじめられたりしているのかい?」


 お兄様はどこまで聞いたのかしらと思ったけれど、全部ではないようで良かったわ。


「クレアを妬んでる人はいるけれど、私が守るわ」


 マイラが力強く宣言した。

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