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涙が去って

 翌日、少し濃いめの化粧をしてもらって学園に行くと、特に変わったこともなく、今日もアルウェッグ様が隣の席に来た。

 

 彼が何を考えているのか、ちょっとよくわからないけど、マイラ様と会わせてくれたことには感謝だわ。


 授業の合間にマイラ様が来たので、挨拶をする。

 

「ごきげんよう、マイラ様」

「ごきげんよう。クレア様、よく眠れなかったの?」

「少しね。でも、大丈夫よ。お茶会はいつにする?」

「わたしは、特に予定はないわ。昼間が良いだろうから、週末が良いのかしら」

「じゃあ、招待状をアルウェッグ侯爵家にお届けするわね」

「俺も……俺も行っていいか、そのお茶会とやら」

 

 横で聞いていたらしいアルウェッグ様が話しかけてきたので驚いた。

 

「ケネスはダメよ、女子会なんだから」

「そうか……」

「マイラ様をお借りしますね」


 話を終わらせた。アルウェッグ様との距離がつかめなくて困るわね。私は相変わらず、クラスでは孤立していて、隣にアルウェッグ様が来るくらいだ。


 昼休みにはいつものようにライオネル様とランチをする。


「お茶会の招待状ってどう書くのかしら? 友達がいなかったから初めてなの」

「規模が大きければお母上に聞けば良いだろうが、マイラ嬢とふたりなのだろう。

 それより、昨日はたくさん泣いたのか」

「わざわざ指摘しないで。ぶり返してしまうわ」

「それは、すまなかった。私も少し不安でね、クレアに振られないか」

「え?」

「いや。

 そうだ、帰りに便箋を買いに行こう」

「お店に行くの?」

「ああ。デートしよう」


 私は少し嬉しくなって微笑んだ。寄り道なんてしたことがなかったし、実は前世でも、学校帰りに寄り道はしなかった。楽しみになってしまった。それが伝わったのかライオネル様も微笑んだ。


 わくわくした気持ちで迎えた放課後、ライオネル様が来てくれた。婚約者を送迎してくれる人もいるけれど、生徒会の仕事をしているライオネル様には普段は迎えに来てもらっていない。


 侯爵家の馬車に乗り込むのは、ふたりきりだと思ってドキドキした。

 馬車の外装は、想像より落ち着いたデザインだったけれど、内側は高級な布が使われていて、質が良いのに落ち着く絶妙な内装だった。

 そしてうちの馬車と同じくらい振動が少ない。


「生徒会は良かったんですか?」

「たまにはね。アル殿下に、お店を聞いてきたよ。恥ずかしい話、殿下の方が街に詳しくてね」

「そうなんですね。意外です」

「殿下の知識は幅が広い。

 私は今も前世でも仕事ばかりでね。乙女ゲームを作ってた割には恋愛にも疎いんだ」

「ええ?」

「君の周りにはケネスやグラハム卿がいて気が気ではないよ。私の中身はおじさんだしね」


 ぜんぜん余裕そうに見えるんですけど! 


「私はただの小娘ですよ。マイラ様も転生者だし、大人みたいだし、仲間ができて良かったですね」

「クレア?」

「転生者は私だけじゃないと思って」

「ひょっとして…………

 妬いてくれていると思っていいのかな」


 ライオネル様は、手を口元に当てていて、耳が赤かった。

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