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【連載版】ざまぁの神様は可愛い末っ子  作者: 小内 ゆずか
第1章 美しくないから婚約破棄なんてダメでしゅ
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2 悪いのは誰?

神様にあるまじき暴言から始まりますが、お付き合いくださいませ。


「ふっっざけんなー!不細工、不細工言ってんじゃねーよ!あの娘のどこが不細工だってんだよ、醜いのはテメーの心だー。本当の美しさってゆーのは総合力なんだよっ!すべて兼ね備えてこその美なんだよ!美の神を舐めんなよっ。」


「あれ誰?」


「荒ぶる神……かな。」


「こわいでしゅ…」


一気に捲し立てる美の女神の剣幕にザマちゃんまでドン引き―


普段は能天気…もとい、朗らかな美の神の怒髪天を衝く勢いは普段とのギャップにより尚さら迫力がある。


モニターを見ている最中から徐々に怒りのボルテージがあがり、あがり過ぎて無言になっていたのが一気に大爆発。口調まで変わってしまっている。


「あんな姉上初めて見た…」


「800年前の父娘喧嘩(おやこげんか)以来だな」


コソコソと話す神たち。延々と怒鳴り散らす様子を伺いつつも、怒りを発散しきるまで放っておくしか無いと諦めて静観することにしたらしい。


「そもそも、あの国は美の神の信者が多いから目をかけてやっていたのにこの仕打ち!あんな腐った奴らを大量に生み出すことに加担していたなんて自分が許せませんわ!」


「おっ、口調が戻ってきたね」


「そろそろかな?」


ふぅーっ、ふぅーと息を切らす美の神の様子を見ながら、年長の神達はお茶を飲んでいる。さすがは年の功で荒ぶる神への反応も慣れたものだ。


「……あら。

(わたくし)ったらどうしたのかしら。皆様もそんなお顔をしてどうしましたの?早くザマちゃんのお手伝いを進めましょう。」


先程までの剣幕が無かったかのように話をする彼女の様子に唖然とする一同。だが年長の神数人だけは気にも止めていない。


「やれやれ。やっと正気に戻ったね。」


「いつ見てもすごいよねー。自分の美しくない言動は無かったことにするスルー(りょく)。」



荒ぶる神が去ったことで、末っ子の仕事応援会議が再開される。


「さて、とりあえす対象者である少女の現状を確認した訳だけど、この後はどう進めるんだい?」


「ぅうーん…」


握った小さな手を口元に当てて首を傾げて必死に考える末っ子を皆がほんわかした目で見つめていると、先程荒ぶっていた美の神がお願いをしてきた。


「あのソニアっていう子の周囲の者をもう少し確認していただきたいんですの。あの国…サンフラワー王国は(わたくし)の信者がとても多いのですけれど、今回のことで美に対する価値観が歪んでいることがわかりましたわ。それがどの程度の範囲なのか確認したいんですの。こう見えて(わたくし)とても怒っているんですのよ。」


怒っていることはよーく分かっているよ、と皆思ったが懸命にも誰も口にはしない。荒ぶる神が再び降臨したら大変だ。


「うん、いいんじやない?今回の『ざまぁ』の相手を決める為にも必要だからね。」


「えっ、あの胸クソ王太子が犯人だろ?」


「加担してた者も同罪かも、ってことよ」


「いえ…国民すべて制裁が必要かもしれませんわ……うふふ」


皆が意見を述べるなか、美の神が凄惨な笑顔で物騒な事をつぶやいている…。

しかし、そんな美の神の様子などお構い無しに意見をまとめ始める真実の神。いつもブレない安定のマイペースだ。


「皆の意見は、今回の対象者を絞り込みたい、その為にもう少し状況の確認がしたい。という事でいいかな?ザマちゃんはどうしたい?」


今回、仕事を行うのはあくまでも末っ子。サポート部隊の意見は聞きつつも最終判断はトップに委ねる事を忘れない。できる男…それが真実の神。

人間社会であれば、中間管理職として引っ張りだこ間違いなしだ!


「わるいひとをみつけるでしゅ!」


「それじゃあ、もう少し色々見てみようか」


「あい!」


元気に手をあげる末っ子にほんわかしながら、再びモニターに視線を向けた。


真実の神の操作により、ソニアを取り巻く過去の様子が次々と映し出されていく。


そしてその度に皆の表情が険しくなり眉間に皺がよっていく。特に美の神は、荒ぶる神再び降臨かと心配になるほどの形相だ。



いくつもの場面の確認が終わった。その内容をまとめるとこんな感じだ。


◯学園の同級生

友人はいない。侯爵令嬢かつ王太子婚約者であることから、表立ってのイジメなどはない。

しかし、聞こえよがしに陰で容姿をからかったり、茶会に招くも誰も話しかけず近寄らないなどの陰湿なイジメあり。


◯家族

両親は赤児の頃から容姿に嫌悪感を示し、本人にも日常的に罵声を浴びせる。親子としての会話はない。5歳になると「顔を見たくない」という母の希望により離れで暮らす。兄弟や使用人からも蔑まれており冷遇されている。

但し、魔力量がずば抜けて多かったことから使える駒として判断されて厳しい教育がされるなど、完全に放置されていた訳ではない。


◯王太子

12歳の時にソニアと婚約。婚約当初からソニアの容姿を猛烈に嫌っており、罵声を浴びせるだけでまともな会話をしたことは無い。軽度の暴力も日常茶飯事。

学園に入りユーミアと懇意になり、彼女と婚約するために今回の断罪劇を画策。

人間の価値は美しさで決まると信じており、醜いソニアには何をしても許されると思っている。


◯ユーミア

元は孤児。美の神の祝福があることがわかり男爵家の養子となる。幼い頃からその美貌によりチヤホヤされており、自分が世界で一番美しいと思っている。王妃となる為に王太子に近づき、言葉巧みに王太子を操り婚約者のソニアを排除しようと企む。

王妃になりたい理由は、美しい自分がなるのが当然だから。


◯国王

王太子の美しさ至上主義をなんとか矯正したいと思っている。そのため、平凡な顔立ちではあるが知性と教養を持つソニアを婚約者に決めた。本人と周囲からの猛反対があったが、彼女の身分と魔力量が決めてとなり王の強権で断行。

この国の王侯貴族の美しく無い者を蔑む風潮に危機感を持っている。


◯国民

美しくない者を蔑む風潮は強い。しかし、日々の生活を送るには力や知性なども必要であることを理解している為、貴族達ほどに酷い差別はない。それでも、他国と比べて圧倒的に美しい自国の王侯貴族に誇りを持っていて、その美しさを支持している。



と。こんな所かな。

真実の神がモニターで見た事柄の要点をまとめて、難しい顔をしている皆に淡々と述べる。


「はぁ…なんか複雑だな」


「冤罪の件だけ見れば、王太子のとユーミアって子が犯人だけど…」


「冤罪と知っていて黙っている…寧ろ面白がって喜んでいる者も大勢いるのよね。ソニアは美しくないから断罪されて当然だと思っている者達に罪はないのかってことよね?」


「これって誰が悪いの?」


「国じゃね?」


「ワイには分かる…犯人は~~お前や!美しさは罪なんや!しか〜し、ワイにもちぃーっとばかし寄こせば無罪にしたるで〜。」


神々が頭を捻り真剣に議論するなか、怖れを知らないおちゃらけ男演芸の神が演技がかった動きで美の神をズバッと指差す。もっとも極寒の笑みを返されてすごすごと引っ込んでいったが…。


「うぅ〜ん、演芸の神の言うことも一理あるんだよね…。美しさを尊ぶ風潮が犯人と言えなくもないからね。もちろん行き過ぎだけどね。」


「うちゅくしいはわるくないでしゅ!はんせいしないひとがわるいひとなんでしゅ!」


ここで、今回のボスである末っ子からのお言葉。皆よくわからないという顔をしているが、真実の神と数名の神だけは納得した顔をしていた。


「反省しない者が悪い……なるほど…真理ですね。

では、どのようにざまぁをするのか決めていきましょうか。」


いつになく上機嫌になった真実の神は、何のことだか理解していない神達をおいて、さっさと次の段階へと話を進めていくのであった。

お読みいただきありがとうございました。

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