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【連載版】ざまぁの神様は可愛い末っ子  作者: 小内 ゆずか
第1章 美しくないから婚約破棄なんてダメでしゅ
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8 下界にぼくの神殿ができるでしゅ


「いーくーでーしゅ!」


いま僕はね、ちょっと悪い子してるの。

でもね、絶対に譲れないの!男には全てを賭けるべき戦いがあるって剣術の神のお兄ちゃんも言ってたもんね。


お兄ちゃんとお姉ちゃんがとっても困ったお顔してるけど、ダメなの!僕は行くの!


「はぁー、ザマちゃんあのね神様はね、特別な時にしか人間の前に姿を見せちゃいけないって決まりがあるのよ」


「おりこうにモニターで見てましょ」


「そうだ!下界から取り寄せたアイスがあるぞ。一緒に食べよう」


フンだ。僕は食べ物に釣られる子供じゃないんだからね。ちょ、ちょっとだけアイスは食べたいけど…。


「あ、あいちゅもいらないでしゅ!」


僕はゆーわくになんか負けないっ。


「困ったわ…」


「いつになく頑固やなぁ」


なんか皆んながコソコソお話し始めちゃった。悪い子な僕のこと嫌いになっちゃったお話しかなぁ。

不安になってお兄ちゃん達を見ていたら、真実の神のお兄ちゃんが話しかけてきたの。


「創造神様に聞いてみようか。それでもダメだったら諦めるんだよ。」


そっかぁ、お父さまは一番偉い神様だもんね。ダメって言われたら諦めなきゃ…。


「おーい、親父ー見てるだろ。」


「早く出て来て、悪者になってくださいませ。」


皆んなでお父さまを呼んだら、ヒュンって来てくれたよ。でも、悪者じゃないよね?へんなの。


「なんで我がそんな役を…」


「悪ノリして、ザマちゃんに破壊神ごっことか教えていたからですね」


「ほんと教育に悪いったらないですわ」


「さっさと嫌われる父親になってよ。破壊神様?」


なんかお父さまの顔色が悪い気がするけど、頑張ってお願いするぞー。


「おとうしゃま、ぼくげかいにいきたいでしゅ」


「うぅーん…」


お父さまが顎に手を当てて考え込んでる。あっ、なんで行きたいのかもお話ししなきゃ。


「ぼくのちんでんたててくれるでしゅ。おねえしゃんにありがととおねがいしゅるんでしゅ」


「しかしだな、神は無闇に姿をあらわしたり、人に指示をしたりしてはいかんのだ。今回は諦めて…」


お父さまもダメって言ったの。僕お姉さんのところ行きたいのに…。ダメって……。僕は悲しくって涙が我慢できなくて「うわぁーん」って泣いちゃった。


「わ、わかった。条件をつけてなら許可しよう。だからそんなに泣かないでおくれ…」


えっ!いいの?

涙で滲んだ視界でお父さまのお顔を覗き込む。


「条件は、現実世界ではなく夢の世界で会うこと。そして、会える時間は10分だけだ。これ以上は認められん」


「おっ⁈オレの出番だな」


夢境の神のお兄ちゃんがね、お姉さんの夢の中に連れてってくれることになったの。うれしいな。

あっ、その前に皆んなに謝らなきゃ。


「いっぱいわがまま、ごめんなちゃい」


お兄ちゃん達は優しいお顔でいいよって許してくれたんだよ。みーんな大好き。



そのあとね色々準備して、お姉さんが寝るのを待ってから夢境の神のお兄ちゃんと一緒に夢の中へ出発したんだよ。


「さあ手を繋ぐぞ。オレがいいぞって言うまで目を開けるなよ。途中で開けると空間の狭間に落っこちちゃうかもだからな、絶対ダメだぞ」


落ちたら大変だから絶対に開けないようにお目目をぎゅーってしてたら、体がフワッてしたんだ。少ししたらもういいよって声が聞こえたから、ちょっとドキドキしながらお目目を開けたの。


そこはね何にもない所だったんだよ。真ーっ白で床もお空もない所なの。怖くなってお兄ちゃんにしがみついちゃった。


「ちょっと殺風景だな」


お兄ちゃんがそう言った突端に風景がパッて変わったの!お兄ちゃんスゴイ!


色んなお花がいっぱい咲いてる草原に白いテーブルとイスがある。ここにお姉さんが来てくれるんだって。


「さあ呼ぶぞ。オレは隠れているからな」


そう言ってお兄ちゃんが消えたら、お姉さんがお椅子に座ってキョロキョロ周りを見回してたの。


「えっ、ここどこ?夢?」


「おねえしゃんこんにちは。ここはゆめのなかでしゅよ」


僕を見たお姉さんはすごく驚いてお椅子からおりて膝をついたから、座って僕とお話ししようねって言ったの。僕のお椅子がパッて子供用のに変わったから二人で座ってお話しをはじめたんだ。


お姉さんに僕の神殿造ってくれるのありがとってお礼を言ったの。

でもね、お姉さんきょどーふしん?っていうのっぽくって、胸の前に手を組んで「とうとい…」とかつぶやいてるんだ。美の神のお姉ちゃんに似てるね。へんなの。


「あのね、ぼくのしゅんでるおうちのもけーもってきたの」


そう言って模型を出す。これはね細工の神のお兄ちゃん達が作ってくれたんだよ。僕のお家にそっくりで、なんと上の部分が取れて中も見えるすっっごいやつなんだよ。


「こちらは…?」


「ぼくのおうちでしゅ。かっこいいんでしゅ!」


お姉さんは不思議そうなお顔で模型を見つめている。


あのね神様はお仕事以外で人に命令しちゃいけないんだって。お願いも神様がすると命令になっちゃうからダメって言われてるの。


でもね、かっこいい神殿建てて欲しいの。下界に初めてできる僕の神殿だからね。

どうしたらいいかなぁって考えて、僕が住んでるかっこいいお家を見てもらうことにしたんだ。そしたら、似た感じのかっこいいのを建ててくれるかもしれないでしょ?僕って賢いでしょう!

真実の神のお兄ちゃんも「ギリギリだけどまあいいでしょう」って言ってくれたから大丈夫。でも何がギリギリなんだろう。


僕はお姉さんに僕のお家のすっごい所をいっぱい説明したんだ。最初はちょっと困ったお顔してたけど、「素敵ですね」ってニコニコ顔で言ってくれたよ。


「そろそろ時間だぞ」


夢境の神のお兄ちゃんの声が聞こえた。10分て早いね。もっといっぱいお話ししたかったけど、お約束だから守らないとね。


「あっおじかんでしゅ。おねえしゃんばいばい」


「夢のような時間でした。素敵な神殿が建てられるように頑張らせて頂きますね」


お姉さんの声が聞こえた後は、真っ白の空間に戻っていた。来たときと同じ様に夢境の神のお兄ちゃんとお手手を繋いで、お目目をぎゅってして僕のお家に戻ってきた。


「ただいまー」




◇下界(ソニア視点)


目が覚めるといつもの寝室。

先程の夢を思い出す。ざまぁの神様との素晴らしいひととき。神々しくも可愛らしいあのお姿…ああ、なんて尊いのでしょう。

あれは夢では無い。私には確信がありました。


「さぁ、神様の望まれるカッコイイ神殿にするために頑張りましょう」



それから私は前以上に気合いを入れて、神殿建造のために奔走しました。国王陛下も心強い後ろ楯となり力を貸してくださいます。


デザイナーと唾を飛ばし合いながら神殿のデザインをまとめて、「神の威厳が」とか寝言をほざく神官達を黙らせる。なぜ大人とはあんなに頭が硬いのでしょう。


建造費が足りなくなった時は、以前私をイジメていた者達を脅して金をふんだくり…コホン、貴族達から寄付を募りようやく完成に漕ぎ着けました。


不本意ながら"絶対零度の美少女"などと異名も付けられてしまいました。容姿などどうでも良いと思っていた私ですが、神の御業により変わったこの顔は神殿建造に大変に役に立ちます。

笑顔で「神のお望みです」と言えば大抵の事は押し通せるのですから。もっとも目が笑っていないと怖がられてもいたようですが…。



「小さな神様はお気に召してくれるかしら…」


完成した神殿を見上げて呟く。

外観はパステルカラーの淡い色彩。可愛らしい動物や花の彫刻。滑り台はどうしても無理だったので室内に滑り台やブランコなどの遊具を配置しました。夢の中で見せて頂いたあの神殿の雰囲気に近づけたと思うのですが…。


本日は降臨の儀。

神殿に神様をお迎えする大切な儀式です。高鳴る胸を鎮めながら、国王陛下をはじめ大勢の人で溢れかえる神殿に足を踏み入れました。


いよいよ儀式が始まり神様に祈ります。祈りが届くと前方にある石が神様の姿を模した神像へと変わるそうです。


最後に降臨の儀が行われたのは130年も前のことだったそうで誰も見たことはありません。不安と期待に緊張しながらも儀式は進んでいきます。


「おぉー」


用意された大理石が輝きはじめ徐々にその形を変えていきます。ああ…神の御業を前にして溢れる思いが涙となって私の頬を濡らします。


ようやく光が収まって、そこに現れたのは私が見た御姿と寸分違わぬ神像。可愛らしい笑顔で両手を前方に掲げる御姿は…抱っこをねだる幼子のよう。


「尊い…」


のちにこの御姿が何を表すのか大議論が巻き起こることになりますが、そんなものはどーでもいい。心の底からどーでもいいです。

私にとっては、ただ、ただ尊いそれだけです。

涙が溢れている事にも気付かず、神像を見つめます。あぁなんて尊い…。


最後に神託が神殿に響きます。


『すてきなしんでんありあと。ひとにいじわるしちゃだめでしゅよ』


一同ありがたい御言葉に平伏しました。


私をそしてこの国を救ってくれた偉大なる小さな神様へ心からの感謝を。そして私の生ある限り生涯変わらぬ信仰をお約束します…。



―――


こうして、この国の神殿区画に沢山あるどの神殿よりも目立つ可愛いらしい神殿は完成した。


今回の大事件は末長くこの国で語り継がれることとなる。と同時に人々に正しい人間の在り方を示してくれた「ざまぁの神様」はこの国一番の信仰を集めることとなった。


この一風変わった神殿を訪れた人は皆優しい気持ちを思い出して『人を外見で見下したりするような、驕り高ぶった人間になってはならない』と神にそして自分に誓いを立てるのだった。


お読みいただきありがとうございました。


評価⭐︎など頂けると大変励みになります。

よろしくお願いします。

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