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第四話

君たちは、使徒という言葉を聞いたことがあるだろうか?使徒…それは神の加護を得た、神の代行者のことだ。ほとんどの神は使徒を使って、地上に干渉する。まぁ僕みたいな例外もいるのだけれど。


勇者や魔王も一応は使徒である。勇者は聖神族の使徒であり、魔王は旧神族の使徒なのだ。勇者や魔王の強さは加護を与えてくれた神の強さに比例する。この世界にいる勇者くんと魔王ちゃんは、中位程度の神の加護を得ているので比較的強いほうである。


最上位の神…つまり僕のような神の加護を得ている使徒は、勇者や魔王とは呼ばれずに代行者と呼ばれる。なぜなら最上位の神の加護を得ている存在は下位の神程度の力を持っているからだ。つまり神の代行者と名乗ることが許されるほどの力を持っているというわけだ。


地上に降りて生活している僕も、使徒を一人だけ作っている。ちなみに使徒とその主である神の力関係は圧倒的に神のほうが大きい。神は使徒に与えている加護を外そうと思えば、好きに外すことができるからだ。


さて、なんで僕がこんなことを話しているのかそろそろ明かそうじゃないか。球技大会の練習の後、僕は僕の使徒との約束をすっぽかして家に帰った。そして今、畳の上で正座をさせられているのだ。


僕の前にはニッコリと笑顔を浮かべながら、怒りを発している使徒でありクラスメイトの少女…天羽雪(あもうせつ)が仁王立ちしている。うーん、ほんとにやらかしたね。学校が終わって浮かれていた僕に文句を言ってやりたい気分だ。


「ほんとにごめんなさい。」


最上位の神なのに、深々と人間に頭を下げる僕。別にプライドがどうとかで、悔しいとかそういうわけではない。ただ幼馴染の神とかにこの姿を見せたら、笑われそうだなぁと思っただけだ。まぁアイツラが見ていたとしても僕が悪いので、一切躊躇せずに頭を下げるけどね。


「ほんとに反省していますか?来栖様は今までもそう言った次の日に、約束を破ったりしましたよね?」


うーん、すごく機嫌が悪いね。今までのやらかしがいろいろと溜まっちゃったのかな?こりゃもうダメだ。よし、捨て身特攻でいこう!!


「わかった、雪。今日の晩ごはんは高いお寿司を食べよう。奢るから。いや、奢らせてください。」


邪神なのに、なんて情けないんだと思ったかもしれない。でも仕方ないだろう?こうなった雪はすごく怖いんだもん。僕だって死にたくないんだよ!!


「来栖様、私が食べ物程度で機嫌が良くなる軽い女だと思われていたのですか?私の機嫌はなかなか安く見積もられたものですね。」


「いやいな、そんなこと思ってないよ。あっ、もしかしてサーモン嫌いになっちゃった?以前好きって言ってたから、今も好きかなって思ったんだけどさ。」


フフフッ、僕は知っている。女の子は自分の言っていたことを覚えてもらえると、ほとんどはうれしくなるってね!!雪の好きな食べ物を覚えておいてよかったよ。


「そ、そうですか。私の好物を覚えててくれたんですね。」


態度が急にしおらしくなり、もじもじとする雪。どうやら効果抜群だったようである。しかし今の雪はきれいな容姿も相まって、すごく可愛く見える。たいていの男なら、これで落とせるだろう。


「明日も学校だし、さっさと着替えて行こう。雪はそれでいいかな?」


「はい、それで構いません。それじゃあ私は着替えてきます。」


そう言って、部屋から出ていく雪。それを見送ると、僕は大きく息を吐いた。うーん、助かった。今後、雪との約束は破らないようにしよう。


そう心に誓うのであった。



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