表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/111

プロローグ 猫になった日

以前投稿してたのですが、改めて書き直しました!リメイクです。ご興味ありましたら是非よろしくお願い致します!

教室の窓際、午後の光がじんわりとノートを照らしていた。

数学の授業はすでに頭の上を通り過ぎていて、俺はノートの隅に猫の落書きをしていた。


隣の席には咲良が座っていた。

クラスでもよく笑うタイプで、周りと話すことも多いけれど、俺とはまるで接点がなかった。


話したことなんて、一度もない。

ただ、教科書をめくる手元や、窓の外を見る横顔を、時々ぼんやりと眺めていただけ。


特別な感情があったわけじゃない――

……そう思いたかっただけかもしれない。



下校途中、コンビニでおにぎりを買って、駅前の信号を渡ろうとしたときだった。

急ブレーキの音。視界が歪む。

世界が、ぐるりと回転したような感覚。アスファルトが目の前に迫り――そこで、何もかもが途切れた。



目を覚ますと、視界が妙に低かった。

アスファルトのヒビが、ありえないほど近くに見える。


「……にゃ?」


漏れた声に、自分が最初に驚いた。

思わず顔を見ようとして、目に映ったのは――細くて毛むくじゃらの、縞模様の前足だった。


(……は?)


思考が止まる。体が震える。心臓がどくどくと小さく鳴っている。

夢じゃない。雨の冷たさも、空腹も、耳に響く車の音も、すべてが“現実”だ。


「にゃあ……っ!」


叫びたかった。でも、それは泣き声にしかならなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ