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朝の御手水とお食事の風景

 平安女房基本生活セミナーで習った通り、御手水(ちょうず)が始まる。係の女房が、定子さまに手とお顔を清める水を差し上げる。淑景舎の妹君には、淑景舎から宣耀殿(せんようでん)貞観殿(じょうがんでん)を通って六人がかりで持ってきている。初めてみるので、興味津々、いにしえの生活は、みやびだなあと思う。


 朝のお食事の、給仕役の女房が、お膳に髪がかからないように、髪を結いあげている。食事のために、屏風が取り払われてしまって、清少納言と私の姿が丸見えになってしまい、大慌てで柱の陰に隠れた。でも、頭かくしてなんとやら。着物の裾が丸見えだ。


「おやおや、どちらのお方ですか。霞の間から、人影が見えておりますよ。」と、関白様が冗談めかしておっしゃる。


「清少納言が、興味津々で覗いておりますのよ。」と、定子さまがお答えになる。


「それは、それは。昔なじみの女房殿が、なんと憎らしい娘を二人も持っていることだ、と眺めているのですね。」などとおっしゃりながら、お顔は大変得意そうである。


 妹君にお食事が出されたのを見て、関白様が

「ああ、うらやましい。お食事がとどきましたね。早く召し上がって、このじじ、ばばにおこぼれをくださいませ。」

 関白様は、上機嫌で冗談ばかりおっしゃっていらっしゃる。


 そうこうしているうちに、定子さまの兄君の大納言 伊尹様、弟君の三位の中将 隆家様、伊尹様のお子 松君様がいらっしゃった。関白様は、松君をお膝の上に抱き取られた。このご兄弟は、こちらが恥ずかしくなるほど、美しく利発そうなご様子であること。


中の関白家、一同うちそろわれて輝かしいことこの上ない。

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