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別れ

 3度目の転移が、もうすぐ終了する。私の転移可能回数は3回だから、もうこの時代に来ることはできない。最後に、清少納言に聞いてみた。


 定子様の今の状態、本当はかなり悲惨ですよね。


 ええ。中の関白家は落ちぶれてしまって、後ろ盾としては不十分。身の回りの品物も、不用品を売って、どうしても必要なものを何とかそろえて。一条天皇からの下賜品は、売るのにいいものばかりではないから、内情は火の車。優雅な生活とは、程遠い。


 でも、あなたの書かれるものは、優雅な生活や、風流な言葉ばかり。ちょっと現実と離れすぎでは?


 あら、和歌にせよ、絵にせよ、私の書き物にせよ、描くのは美しいものだけよ。誰も、枯れた花とか、崩れたお屋敷の絵など、見たくもないわ。苦しい生活なんて、書けないわよ。私は、定子様がどれだけ素晴らしい中宮でいらっしゃるかを書くのよ。それが、定子様を支えるということよ。


 なるほど。そういうことなのね。あなたは、最後まで定子様の味方なのね。


 ええ、そうよ。定子様が生きていらっしゃる限り、私は定子様の近くで、定子様の素晴らしさを描き続けるの。


 私は、家の事情で、里下がりをして、もうここには戻ってこられないのだけれど、あなたのこと、応援しているからね。


(本当は、定子様は三番目のお子を産まれたあと、そのまま亡くなってしまわれるのだけれど、それを言うことはできない。)


 さようなら。あなたに会えて、たくさんお話が聞けて、本当に楽しかったわ。



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