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影が差す

 定子様ご一家お揃いで、華々しく中宮様(定子様)と淑景舎の御方(妹原子様)との対面がなされたたった八日ののち(2月26日)、父君道隆様が病により辞表を提出された。以前に提出された折には、一条天皇はお許しにならなかったのだが、この度はよほど具合が悪いらしく、お許しになった。一条天皇の世を支えているのは道隆様だ。これは大変なことだと、女房一同動揺している。定子様は、凛としてさぞご心配であろうに、明るくふるまっていらっしゃる。

 4月6日、定子様も、原子様も、道隆様の南院のやしき(二条帝の一部)に移られ、道隆様が出家される。その四日のち、道隆様は、43歳ではかなくなられた。

 4月27日、道隆様の弟君右大臣道兼様が関白になられる。


 道兼様が、二条帝で定子様にご挨拶に来られた。


「中宮様には、さぞお力を落としていらっしゃることと、お悔やみ申し上げます。この道兼、かねてより兄道隆の右腕として兄を支えておりました。かつて、主上(一条天皇)が皇位に就かれました折には、この道兼が大活躍をしたものです。また、東宮様は、道兼の娘婿でもあります。。(まつりごと)に関しましては、何のご心配もいりません。お心やすくお任せください。」


 なんというご挨拶か。あきれてものも言えない。

 定子様は、冷静にお言葉を返されたが、清少納言は怒りに形相をかえ、何も言わなかった。


 清少納言の局に行くと、悔し涙を浮かべながら、話し出した。


 そもそも、一条天皇の前の天皇は、花山院で、花山院は道兼に一緒に出家するとだまされ、直前に逃げ出され、まんまと一人出家させられて退位されたといううわさだ。東宮の女御は、原子のほかにも何人かいて道兼の三女もその一人。早い話、原子のライバルだ。


 この先の定子様のことが心配で仕方ない。

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