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君と過ごす一年間 〜エイムズside〜

俺は今日、惚れた(望んだ)女と政略結婚をする。


立場上嫌いでいなければならない相手と。

毎日のように“嫌いだ”と言われ続けた相手と。


「では、指輪の交換を。」

「…………。」


お互いの魔力が込めた指輪が、俺達を繋いだ。






初日 初めて触れた日


「旦那様……?」

「……もう寝ろ。」

「ちょ……っ。」

「俺達は政略結婚だろ?」

「…………、そうね。」


寝間着姿に心臓が張り裂けそうな自分が情けなかった。



一ヶ月目 掴みそこねた距離


「旦那様。」

「…………。」

「本日のお戻りは。」

「さぁな。」


傍に居たいと願うほど、叶わない願いだと知った。



二ヶ月目 


「マデリンは。」

「奥様は既にご就寝でございます。」

「そうか。」

「何か伝言でも?」

「いや、必要ない。」


寝顔一つ見ることが叶わない距離に唇を噛み締めた。



三ヶ月目 部下の噂話


「エイムズ様ってすごいよな。毎日のように罵り合うくらい大嫌いなヤツを嫁にもらうなんて。いくら政略結婚でも、俺絶対耐えられない。」

「おいこら、聞こえるぞ。」

「だって、そうでしょ!?エイムズ様のためなら俺、別れさせる作戦一生懸命考えるのに!」

「余計なお世話をするな!」

「え、なんで?」


家の方針さえなければ“愛してる”と言えたのに。



四ヶ月目 己の立場


「使用人を解雇したそうだな。」

「えぇ。」

「何か不満があったのか?」

「口は災いの元という言葉がありますのよ、旦那様。」

「…………。」

「私、政略結婚でも成すべきことは成すべきと考えるタイプですの。」


凛々しい姿に、惚れ直した。



五ヶ月目 初めての食事


「一緒に食事でもどうだ。」

「旦那様、急にどうされたのですか?」

「…………不服か?」

「いいえ。」

「なら聞くな。」

「はい。」


何もかもがキレイで見つめてしまったのは不可抗力だ。



六ヶ月目 突然の遠征


「旦那様。」

「…………。」

「今回のお戻りは。」

「さぁな。」

「旦那様。」

「…………。」

「…………。」

「行ってくる。」

「…………。」

「マデリン。」

「!」

「留守は任せた。」

「……っはい。行ってらっしゃいませ。」


花がほころぶような表情に、心臓が痛くなった。



七ヶ月目 憂う気持ち


「…………マデリン……。」


会いたいと願うほど会えないのは変わらないらしいと自嘲した。



八ヶ月目 生命(いのち)の危機


「皆、避けろ!!」

「エイムズ様!!」

「!!」


瞼の裏に浮かんだのは愛した女の顔だった。



九ヶ月目 変わらぬ心


「あぁ、目が覚めたのね!良かったわ!」

「……なぜココに居る。」

「なぜって、決まってるでしょ?エイムズに危険が迫ってるって聞いて慌てて駆けつけたの。」

「…………。」

「あぁ!ダメよ!まだ動いちゃ!傷が開いちゃう!安静にしてて!アタシがちゃんと看病してあげるから!」

「帰らなければ。」

「え〜?まぁ、確かに名ばかりの女主人が居る邸に帰らなきゃならないのはわかるけどぉ。エイムズが慌てなきゃいけないほどじゃないと思うな!」

「…………。」

「それともなぁに?エイムズってば、政略結婚の相手に惚れてるの?」

「…………。」

「ふふふ、言わなくても知ってる!エイムズはアタシのこと好きだもんね!顔を合わせるたびに“大嫌い”って言ってくる女を好きなわけないよね!」


眼の前の女に刃を突き立てたくなるのを必死に耐えた。



十ヶ月目 会いたかった人


「…………随分と様変わりしたな。」

「お帰りなさいませ、旦那様。」

「マデリン。何があった?」

「特別なことは何もありませんでしたよ。」

「…………そうか。マデリン。」

「はい。」

「ただいま。」


君を俺から解放すると決意した



十一ヶ月目 諸刃の剣


「嫌よ!!嫌!!」

「マデリン。」

「絶対に嫌!!」

「マデリン、落ち着いてくれ。」

貴方の隣(ココ)は、私の居場所よ!!」


初めて、君の本音を聞いた気がした。

読んでいただき、ありがとうございます

感(ー人ー)謝

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