冥龍オブゾトーラ
大きな叫び声を聞いた僕らはとりあえず約束どおりナトリ軍隊長のもとへ帰った
「軍隊長、さっきの叫び声は?」
「知るか。とりあえず本部に連絡を入れた。わかったらお前らはそこで立っていろ」
(クソっこのまま声の主が出てくればここは崩壊する。あの洞窟の奥から漏れ出るオーラは尋常じゃない、
ここは一度撤退することが良さそうだ)
「第三軍隊全員に次ぐ。一時撤退だ」
そしてナトリが先頭に立ち馬を走らせた
(しかしガキどもの魔法は尋常じゃないレベルだ。相手によるがレベル5だって瞬殺だ。この年は軍隊長の言っていたように豊作だな。それに比べ昔は・・・」
それは遡ること15年前の軍部会議のこと
「これより軍部会議を始める」
「はっ」
その頃は軍隊長になりたてで浮かれていた
「これから年に一回魔法学校と合同殲滅作戦を行う」
「団長、いいでしょうか」
そして許しを得て質問をした
「それは魔法学校生を戦場へ送り出すということでしょうか?」
「うむ、その通り。知っているやつもいるだろうが騎士団には別に魔法騎士団がある。そこの人員補充のため優秀な魔法使いを選別するために行う」
今ではこれは残酷なことだと思えるが昔の俺は団長の言葉が全てだった
そして殲滅作戦本番、予想外の魔物の出現によって魔法学校の生徒は全滅、騎士団も半壊
そして最悪なのはこちらの情報収集不足を全て事故で済ましたことだった
その時から俺は団長を少し不快に思い始めた
それ以降、その作戦が行われるたび沢山の子供が戦場で散っていった
そして俺の我慢も限界が来た
「では、今回の殲滅作戦は・・・」
「また、子供を殺すんですか?」
憎悪と怒りを声に乗せて言った
「あれ等全て事故だ。我々が殺したのではない」
「あれを事故で済ますんですか」
「貴様、さっきから不敬だぞ」
「そうだ。立場をわきまえろッ!!」
「まぁ待て皆のもの。ナトリくん、君の言い分はわかった。でもねぇ我が魔法隊が人員不足なのも事実。これはどうすれば良い?」
「魔法隊を廃止すれば良い」
「なにを!?」
「そんなことできるはずがない‼」
「自分の言っていることがわかったいるのか‼」
(あぁうるさい。この老人共は)
そう考えていたら俺は突然気を失った
そして気づいた頃にはその部屋は血に染まっていた
足元には数人の胴体と切飛ばされた頭が転がっていた
「ひ、ひぃぃ頼むワシだけでも、ワシだけでも助けてくれ」
(ここまでやったんだ。後には引けねーな)
「おい爺さん。散々子供を殺してきたんだ。文句はねーよな?」
「た、頼む。助けてくれぇ」
そして
ピシャッ
また一つ頭と胴体が転がった
そして俺はその後駆けつけた近衛兵に取り押さえられ檻に入れられた
(フッ、結果こうなったがもう後任のやつに託すしかねぇな)
「おい、ナトリ出ろ」
(なんだ?今更釈放?誰が、どうして)
そして後任の団長のもとに呼び出された
「やぁ、はじめまして。俺が後任のキャシーだ。よろしく」
そうして出会ったのは現団長のキャシー第三団長だった
「どうも」
「ふ〜。ツレナイなぁ」
「なんのようですか?」
「予想は付いてるんじゃないか?」
「えぇまあ」
「なら早い。君を釈放し俺の第三隊長、そしてこの団の作戦参謀を努めてもらう」
「は?」
「おっと今のは予想外だったかな?もう一度言うが君を第三隊長に任命して作戦参謀を努めてもらう」
「なんで俺なんかを、他にもいたでしょ」
「私は君の行いを罪と考えたことはない。逆に我々からしたら君は英雄として称えていたくらいだ」
「なぜ、そんなことを?」
「我々も前団長のことを快く思っていなかったからな」
そう言いながら団長は席を立ちこちらに向かって頭を下げた
「愚かな真似をした前団長を我らの代わり処罰してくださったことに全騎士代表してお礼申し上げます」
その瞬間、俺の目から涙が流れ落ちた
「いえ、こちらこそありがとうございます」
涙を拭いながら震えた声でそう言った
そして現在
セイラ達は本隊に合流した
「おい、ガキども。ついてこい」
そう言ってナトリは足早に対策室へ入っていった
「ナトリ、そちらの状況は聞いている。とにかく座れ」
「はい」
ナトリが座ると同時に僕らも席についた
「それで今そっちはどうなっている?」
「今、ブロサムが指揮を取りながら少し後ろに後退している」
「さて、どうしたものか。正体不明の叫び声に瘴気どちらも無視できない」
「撤退すべきじゃない?」
話し合いをしているとセイラの後ろから声が聞こえた
(うん?この声って)
「なんでここにいるんですか?スレイトさん」
「うん?セイラ、サンシーファのことを知ってるのか?」
「サンシーファ?あなたそんな名前でしたっけ?」
「どちらも同じだよ。私はサンシーファ・スレイト、同じ名前で騎士団と学校の支司書はできないからね」
「まぁそれは置いとくとしてサンシーファ、なぜ撤退すべきなんだ?」
『冥龍オブゾトーラ』
「!?」
その名前を聞いた瞬間セイラの顔が固まった
「セイラ、知ってるの?」
「オブゾトーラ、神代の時代から生きている龍王の一体、冥神の加護龍ですよ。なぜこんな場所に」
「相変わらず君はものしりだね。その通りオブゾトーラは冥神の加護龍だ。」
「もしその話が本当だとしてもなぜ撤退なんだ?ドラゴンなら狩り方は熟知しているが」
「団長、ドラゴンじゃなく龍王だ。ただのドラゴンとは違う。何千何万年とこの世界の最強の一角として君臨してきた化け物だ」
「物理も効かなければ魔法も通りが悪い。倒すには神代の魔法が必要なほど危険な魔物です」
「ねぇ、さっきから思ってたんだけど冥神って誰」
「冥神アリア、罪ある魂を断罪しその魂を天に送る事のできるやつだ」
「詳しいですね」
「まぁね、とにかくここは撤退をおすすめするよ」
「わかった。副団長やその他軍長とも相談の上判断しよう」
そうして今日、最後の会議は終わった
すみません
なんか自分で読んでて中途半端な終わり方してしまいました
なろう書いててやっぱり国語って大事だなって思い知らされましたねww