記憶
僕は目が覚めると大きな広間の中央に座っていた
(ここは?僕は確か寮の中で寝たはず)
そう考えているうちに誰かが話しかけた来た
「旦那様、お客様がお見えです」
そう執事風の服装をした老年の男性が背後に立っていた
「ご苦労、セバスチャン。少し休むと良い」
「はっ、承知しました」
そのセバスチャンという男はきれいにお辞儀して去っていった
そして僕はその名前を聞いてここを思い出した
ここは前世つまり僕がまだエリックの時に過ごした家だった
(懐かしいな、そうだったこんな感じだったな)
僕はこの時少し違和感を覚えた
(なぜ僕は今思い出したように感じたんだ?記憶が欠落している感覚はないだが...)
周りを見るたび僕の中に何かがハマっていくような感じがした
そして僕は客と呼ばれていた人のもとに出向いた
「お久しぶりです先生、ご謙遜何よりです」
部屋の中にいたのはとてもきれいな女性というか少女が座っていた
「ハハハ、謙遜は寄せ。少し年を取りすぎた」
僕の口からは考えてもない言葉が発せられた
(あぁそうか。これは記憶つまりこの物語には僕という人物は関与できないのか)
そう悟って僕は大人しく会話を聞くことにした
「ところで先生、後どのくらい残っているんですか?」
「ふむ、残り僅かとなってきている。ただ、少し面倒な奴らでな...」
「なるほど大罪の魔神ですか。それは面倒ですね」
その少女は顔をしかめた
「そんな顔をするな。一応彼らは魔神だが種族的には魔人に近い。だから彼らは魔人といえばなんとかなる」
「では、先生にお任せします。それよりビレスちゃんは元気?」
「ああ、元気の育っているよ。今はガイアと遊んでいるんじゃないか?」
その顔を見て少女は悲しげな顔でエリックを見た
(いいの?エリックあなたは近い未来どちらか選ばなきゃいけないのよ?)
「後継のことだがビレスに継がせることにした」
「!?良いの?ガイアさんじゃなくて」
「彼女とも話した結果だ。悔いはないよ」
「ッ!わかった。それ以上は聞かない」
「ありがとう」
「じゃあ・・・」
その言葉を最後に僕の意識は暗転した
目が覚めるとそこにはいつもどおりの風景があった
「あ、起きた。おはよう」
ニパッと笑うと元気に挨拶をしてきた
「おはようカルネいつも言っていると思いますが起きるまで僕の顔の前で待ってるのやめてくれませんか」
「え?だって今日のセイラ途中から熱くもないのに汗かいてたんだもん」
ベットを見るとそこには湿ったタオルと枕があった
「タオルはあなたが?」
「うん、熱はなかったけど一応」
「ありがとうございます」
素直に礼を言うとカルネはフフンと鼻を鳴らした
「じゃあ行きましょうか」
そうして僕らは教室へ向かった
「今日は前日お話していたとおり、明日の合同作戦の準備のためあなた達はお休みです」
その言葉と同時にアホな男子(3人)が大はしゃぎし始めた
「しかし、他の生徒は授業中くれぐれもうるさくしないように」
「「「はい」」」
返事は良いものの3人の顔は今すぐにでもはしゃぎそうな顔だった
その様子を見てヘンリック先生はやれやれとため息を吐きながら教室を出ていった
「なぁなぁ明日のために街で買い物しようぜ」
ルーがそう提案するロイとマイコスそして以外にもエリューラが賛成した
(男子はともかくエリューラさん、買い物好きなんだ)
エリューラの顔はいつにもまして満面の笑みだった
「ねぇ、買い物って何買えばいいの?」
困ったような顔をしてカルネが聞いてきた
「みんなについていくだけでいいですよ。浮かれてはしゃぎたくなってるだけです」
「おいセイラ聞こえてんぞ〜」
その言葉とは裏腹に顔はウキウキしていた
「ほ〜ここがこの国一番の市場か」
「これはすごいですね」
「でしょでしょ、ここには周辺国家から北の大陸までほぼ全ての特産品が集まってるんです」
先程の発言取り消そう一番はしゃいでるのはエリューラだった
その光景を見ていると僕はフラッフュバックした
その記憶の中にいたのは小さな少女と手を繋いだエリックの姿があった
「お父様、見てください。こんなに沢山の人がいます!!」
その少女は目をキラキラ光らせてはしゃいでいた
手を離せばすぐに何処かに行ってしまいそうだった
「これビレスあまりはしゃぐな」
エリックはどこか嬉しそうではたまた少し悲しそうな顔をしていた
「セイラ大丈夫?」
その声とともに僕は現実に戻された
そこには心配そうな顔で僕を見ていたクラスメートたちがいた
僕がフラッシュバックを起こした際、僕は気を失ったように膝から崩れたらしい
確かに現実に戻ってから膝が少しヒリヒリしていたような気がした
僕は先程の記憶を考えながらみんなの後をついて行った
(あのビレスという子、明らかに僕のことをお父様と呼んだ。つまり彼女はエリックの子供でも
僕は確か結婚もしていないし子供も作っていない。そもそもガイアという女の名前は
大地の女神の名前、あの神はたしかに最後に殺したけど...)
「ねぇ、セイラ、さっきから大丈夫?すごい顔して考え事してたけど」
「え? あ、あぁ大丈夫だよ。ちょっと貧血でくらくらしちゃって」
「そう?なら良いけど」
(その割には心配そうな顔してるな)
パリーン
そのガラスの割れる音とともに複数の男がさっきまでいた店から大きな袋を持ってでてきた
その音を聞いて振り返った僕らを見て彼らは焦るように逃げていった
「しょうがない、彼らを捕まえようか」
「そうだね、ほっとくと変な噂流れるし」
「みんなはここで待ってて」
僕がそう4人に伝えると4人は頷いて
「騎士団の人に伝えてくる」
「お願いします」
そして僕らは彼らを追って走り出した
(逃走経路の選び方、彼らの走り方そうとうな手練れだな)
そう考えながら僕は後を追っていた
ちなみにカルネには先回りして合流場所で待機してもらってる
そこには道一本しかなく周りも高い家に囲まれていて容易に逃げられる場所じゃない
(その角を曲がれば、よし捕まえた)
そこには階段に座ったカルネがいた
「お、おい先回りしてるなんて聞いてねーぞ」
3人はお互いに罪をなすりつけあっていた
「そもそもこの作戦を持ち出したあいつはどこ行ったんだよっ!!」
「あいつ?君たち以外にもうひとりいるの?」
「チゲーよ 昨日、俺達がいつもの酒場で話してると黒いフードを被ったやつが俺達に話しかけてきたんだよ」
騎士団に連れてかれながらそいつは最後に答えていった
「黒いフードの男、なんかやだね」
「うん」
そして騎士団の人に状況を説明しおえ4人のところに戻ると
「なぜあなた達はいつもそうなのですかもっとしっかりしてください」
ヘンリックが男子3人を叱りつけていた
近くにいたエリューラは恥ずかしそうな顔で3人を見ていた
「エリューラどうしたの?」
「実は・・・」
「「「みんなー逃げろー強盗だー」」」
そう叫びながら走り回っていたらしい
しかしその叫びが近所迷惑となり学校に苦情が来たらしい
ヘンリックはこちらに気づくと「お疲れ様です」とだけ言いまた3人を怒り始めた
「いつまでも変わりませんねあの3人は」
僕たちは3人+ヘンリックをおいて先に帰っていった
僕とカルネはベットの上で明日のことを話していた
「ねぇねぇ、セイラ」
「なんですか」
「明日さぁなんか嫌な予感がする」
「急にどうしたんですか?怖いんですか」
「別に怖くない」
すこし煽ってみたが半ギレして答えてきたのですぐやめた
「まぁ大丈夫でしょうレベル3のアンデットウルフ程度の魔物しかでてきません」
「いやもしかしたらレベル4のアンデットワイバーンも出るかも知れないよ」
「さすがにないでしょうレベル4なんて国が動きますよ?」
「今回も騎士団が...あぁそうか、レベル4なんてでたら私達呼ばれないか」
「そうですよ。まあ大丈夫でしょうなんとかなります」
「うん、そうだね。なんとかなる気がしてきた」
「もう寝ましょう明日は早いですよ」
そうして僕らは明日に備え寝た
ーーーー王都内廃墟地下室ーーーー
「ねぇ明日、騎士団と魔法学校が共同で死相岬に行くんだって」
「そうか、だからどうした」
そこには2里の男女がいた
女の方は露湿が多めなドレスを着ているが顔は黒いローブで隠されている
男の方は女と違い全身黒いローブで隠せれている
そして2人共共通してそのローブには紫色の目のマークが付いていた
「魔法学校の子たちにちょっとちょっかいかけたいなって」
「一人でいってこい。私は忙しいんだ」
「そんなこと言わずに総帥の命令よ?」
「それを早く言え」
その2人は夜の暗闇に紛れ悪巧みを初めた