ばけもの子供の物語 楽園
人々から虐げられるばけものの子供たち。
彼らは、人の世界から逃げて、とある場所にたどり着く。
そこは人間はやってこれない場所。
ばけものたちのための楽園。
楽園にたどりつけた者たちはみんな幸せ。
「ここに来れてよかったよ、誰かに石をなげられないんだから」
ばけものの少年は嬉しそうに微笑む。
「ここにたどり着けてよかったわ。誰かに鞭で打たれることがないんだから」
ばけものの少女も嬉しそうに微笑む。
「悪口を言われたりしない」
「のけものにされたりしない」
「ひとりぼっちにならずに済すむ」
たくさんの子供達が、口々にそう言って笑っている。
そんな子供たちの首には首輪がついている。
「「「大人には決してなれないけど、ささいなことだよね」」」
楽園の管理者は、成人したばけものをあつめる。
その場所はエネルギーをつくる施設。
集められた者たちは二度と、そこから出ることができない。
ばけものにはものすごい力が秘められている。
だからその場所では、ばけものの強い力を人間の世界で使うエネルギーにかえていく。
「ここは、ばけものたちの楽園だ。大人になるまでは守ってあげるから、その後は後からやってくるほかの子供たちのために、命を差し出すんだよ」
ばけものの子供たちは大喜び。
今までは、大人になるまで生きられるか分からなかったから。
大人になるまでは確実に生きられると知って。大喜び。