眠れない夜
その日の夜、私はベッドに横たわり目を開けたまま天井を見つめていた。
目が冴えて全く眠くならない。
まだ心の緊張が解けていないのかもしれない。
それでも楽観主義者の私はそのうち寝れるだろうと思い、まずは今日の出来事を振り返ることにした。
私の目の前に現れた上田君。
そもそも上田君の存在を誰も覚えてなかった。
私だけが覚えていて、私の目の前に姿を見せた。
当たり前だがこれは偶然ではないように思える。
私を追いかけてきた上田君。
速かった。
私の本能に任せた全力についてきた。
しかも片手に銃を持ちながら。
あの銃は何?
本物だよね・・・。
少なくともその辺の子供が持ってるようなモデルガンではなかった。
あれが本物だとして何故上田君が持ってるの?
私の見てる前で消えた上田君。
消えた・・・よね。
マジック???トリック???
でもあの後、上田君が立ってた場所に行ってみたが種も仕掛けも見つからなかった。
まぁマジシャンなら現場に痕跡なんか残さないか。
上田君の消える前に残した言葉。
時間管理局って何?
いや、聞いたことないし。
そんなものあるわけない。
ん~~~。もしかして夢なの?
ほっぺをつねってみる。
「痛っ。」
れっきとした現実のようだ。
そして「今日は・・・」って言ってた。
絶対又来る。
どうしよう。
皆上田君の記憶は失ってるから由香にも相談出来ないし・・・。
あーあ。
考えれば考えるだけ訳わかんなくなる。
よし、寝よう。
寝不足で襲われたらどうしようもないし、せめて全力で逃げれるように。
私は無理矢理目を閉じた。
・・・
私が眠りについたのはその2時間後くらいであった。