覚悟した刹那
「はひっ・・・はひっ・・・はぁ・・・・・・はぁっ・・・はぁっ・・・もうだめぇ。」
走り続けた末、私は通りの角を曲がった所で倒れ込んでしまう。
これ以上はもう走れない。
こんな事なら長距離もやっときゃよかった。
だが後悔した所でまったく現状は変わらない。
角の向こうから近づいてくる足音が聞こえる。
あぁ、もうダメだ。。。
今日この場で私は撃たれて死ぬんだ。
思えば短い人生だった。
お父さん、お母さん、先立つ不幸をお許し下さい。
目をつぶって口をぎゅっとつぐみ私は覚悟を決めた。
・・・
だが私の覚悟とは裏腹に足音が止まった。
あれ?向かってこない???
でも気配はある。。。ように感じる。
だが動かない。
もしかして我慢比べに勝ったの?
もうこの場を立ち去るだけの体力はない。
私は恐る恐る角から息を殺して覗いて様子を伺うことにした。
居たっ!!
立ち止まって何か話してる。
こちらに向かってくる様子のないことが確認できると少しだけ落ち着きを取り戻す。
・・・やっぱりカッコイイな。
っていかんいかんっ。
上田君は私を消去しに来てるんだった。
私は何を話しているかが気になり耳を澄ませた。
「何故ですか?
大体10分なんて短すぎる。
時間管理局はいつもそうだ。
・・・えぇ逃げられましたよ。
・・・わかりました。今日のところは戻ります。」
通話が終わったその瞬間、上田君がこちらを見た、ような気がした。
私は壁に背をつけたまま息を止めた。
数秒の沈黙ののち上田君は呟いた。
「ちっ今日はここまでか。」
ぷはぁっ。
止めてた息を向こうにバレないように吐き出す。
どうやら上田君は私の存在には気づかなかったらしい。
ホッと胸を撫で下ろし、再び角から様子をうかがう。
上田君は手元で何かを捜査しているように見える。
その直後、上田君は光に包まれ・・・そして消えた。
えっ???
私は驚きすぎて上田君が立ってた場所を三度見した。
何度見返しても彼はいない。
完全に消えたのだ。
事態は呑み込めないが一つだけわかったことがある。
何だか知らないけど助かったみたいだ。
でも今日はって事は又来るのかな?
それに時間管理局って…