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40.  宇宙の謎と無口な少年 <2> 交流会への旅路 1

 十日後の深夜、洋は、家の近くの空き地に立っていた。

 もうすぐ、星間交流連盟の迎えの宇宙船がやってくる。


 高校に合格し、入学準備も着々と進んでいる。入学式まで余裕があるから、友人と旅行に行きたいというと、両親ともに、心地よく許してくれた。

 やれやれ。

 洋は、どうにも気が進まなかった。


 受験が終わって、のんびりしたかったというのもあるし、もし緊急の星間移動の要請があったら、どうするんだと思っていた。

 ムーア議員によれば、まずありえないし、もしどうしても必要な移動要請があれば、予備として月面に残している旧キャンプを、一時的に再起動すればよい、と何も心配することはないと強調していた。


 ――もうすぐ、到着します。

 キャンプ・スタッフの一人から、思念メールで脳内に連絡が来た。


 夜空を見あげると、満天の星。

 昼間は雨が降っていたのに、そのあとの強風で追い散らされたのか、さえぎる雲もなく、視界全体に、空気の層を通りぬけた恒星の光が、静かにまたたいている。


 と、星空の一画に、黒い穴が開いた。というか、丸い大きな物体が星々の光をさえぎった。

 黒い円盤というよりは、どんぶりを逆さまにしたような宇宙船が、洋の前にゆっくりと降りてきた。


 光学迷彩をほどこしているので、改造された洋の眼以外では、認識できない。電波や熱感知対策も万全で、星間交流連盟の高度な保安技術を使うことにより、地球人――この街の人々が、見たり聞いたりできないようになっている。


 どんぶり型宇宙船の黒灰色の側面が開いて、搭乗用の、灰色の細長い連絡通路が伸びてきた。通路は、数人の大人が横並びに立っても、充分余裕があるぐらいの幅。洋は、連絡通路におそるおそる足を乗せた。さらに数歩(ある)き、全身の重心を通路の上に移し終えると、すっと通路がちぢみ、あっというまに運び込まれた。


 なかに入っても、伸び縮みする通路は続いており、そのまま足を動かすことなく運ばれていった。


 通路の両側も、同じような自動で伸び縮みする道になっていて、天井からそそぐ黄色っぽい明かりのなかを、大量の運搬用ロボットたちが前後方向どちらにも、せわしなく動いていた。


 通路に運ばれて着いた部屋は、ベッドと机に、ソファー、通信機器などが置かれた一人ひとり用の客室だった。

 たぶん、宇宙船に乗っているあいだは、ここで過ごしてくれということだろう。

 ビジネスホテルなどと、あまり変わらない設備だった。地球人である洋に配慮して、過ごしやすいよう、宿泊環境を地球に合わせてくれたのかもしれない。


 思念メールによる情報では、交流室というものが船内にはあり、そこに、洋と同じように星間交流会議に呼ばれた異星人たちが集まっているらしい。

 異星の者たちと親睦を深めるための、いろいろなツールが用意されている部屋だという。


 洋は、さっそく交流室に行ってみることにした。

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