39. 宇宙の謎と無口な少年 <1> 星間交流連盟からの招待 1
高校受験が終り、人心地ついた頃だった。
久しぶりに、ムーア議員が、訪ねてきた。
ムーア議員と向かい合うと、洋は、緊張した。
洋と同じヒューマノイドタイプだから、顔はあるし、表情も変わる。が、表情が読めない。いつも、半笑いのような顔で、地球人の表情変化とは、まったく違う。
前の暗殺されかけた事件で、ムーア議員が星間交流連盟の連盟憲章を大切にする、連盟規約違反に厳しいヒトなのは、わかっている。
今年度は、キャンプ運営は順調で、転送業務に失敗したことは、一度もなかった。キャンプに滞在する旅行客から、クレームを受けたこともない……はずだ。
いったい何の要件だろう? めんどくさいことでなければいいんだけど。
ムーア議員は、胸に手を当てて、挨拶を交わしたあと、おもむろに口を開いた。
「実は、今度、星間交流連盟第125星区で、未接触星系のキャンプ、交通運営担当者の交流会があるのだ」
「はい」
洋は、そんなものがあるんだと思いながら、うなずいた。
「地球星系運営者代表として、君に参加してほしいのだ」
「……はい?」
洋には、生徒会の各種委員会会議みたいな、めんどくさいもののように思えた。参加者のほとんどが喋らない、だらだらした、つまらない会合のイメージが、頭に浮かんだ。
首をかしげる洋をみて、ムーア議員は苦笑いしながら、交流会について説明した。
「実は、最初の多次元体型星間キャンプの運営責任者である君に、いろいろ体験談を聞きたいという星間キャンプ運営者が多いのだ」
「……はあ、そうなんですか?」
「惑星設置型のキャンプ運営を、多次元体型に、少しずつ変えてゆこうという動きがあるのだよ」
「それは、断ってもよいのですか?」
ムーア議員の雰囲気が変わった。口が大きく開き、大笑いしているようにみえる。
が、洋は、間違いなく怒っていると感じた。
「……行かないつもりなのかね?」
開いた口が、ますます大きくなった。洋とムーア議員のあいだの空気が、ねっとりと重くなった気がした。
これは、断ると、大変なことになりそうだ。
洋は、背中にドッと汗をかきながら、答えた。
「行きます」
洋は、大きな声で繰り返した。
「――喜んで行きます。いつ頃になりますか?」




