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38.  キャンプ運用 <37> 星間交流連盟の戦い 3

 タムラは、自宅としているアパートに帰ってきた。

 部屋のドアを開け、一歩足を踏み入れた途端、タムラは意識を失った。

 部屋に侵入していたムーア議員が、タムラの体内に常駐しているナノシステムに、身体を麻痺させる指令を送ったのだ。


 意識を失った身体を、片手で抱え上げると、ムーア議員は、日が沈んだ直後の、灰色がかった空へ飛び上がった。もちろん、下の道路を通行する人々から、万が一にも発見されないよう、力場で、自らの全身とタムラの身体をおおい、さらにその上から光学迷彩をほどこした。


 タムラをかかえたムーア議員は、洋の家の上空まで、タムラの身体に影響を与えないぎりぎりの速度で、飛行した。

 洋は、部屋のベッドの上に立ち、すでに迎える準備を終えていた。

 上空に浮かぶムーア議員たちの姿が、ゆがみ、ゆれた。屋根の上の一ヶ所、ムーア議員の身長を半径としたぐらいの球形の空間が、波打った。ムーア議員たちのゆがんだ姿が、かすれ、透きとおり、消えた。


 転移室から、ムーア議員が現われると、待ち構えていたスタッフが、タムラを受け取り、すぐに、洋への暴力行為をやめさせる精神干渉を行った。

 精神干渉は、星間交流連盟の厳しい規定にしたがって、細心の注意をはらって行われた。干渉によって、タムラの基礎人格が損なわれることはなく、道徳指向性のわずかな修正のみで済ますことができた。


 修正が終わると、タムラは、自宅としているみすぼらしいアパートに戻された。


 道徳指向性を修正され、正邪の判断レベルが上がったタムラは、数日後、警察を訪問し、シンセイ建設の幹部から依頼された、洋の口封じのための作業について、説明した。


 渡された薬については、強力な毒性を持つにもかかわらず、タムラ本人には、気分を悪くする薬としか告げられていなかったことも話した。

 タムラの証言により、シンセイ建設の幹部たちが捕まり、シンセイ建設は、倒産しかけていたところを、別の建設会社に吸収・合併された。


 シンセイ建設とつながりのあった政治家たちも、トンネル工事を受注させるにあたって、シンセイ建設から多額の賄賂を受け取っていたことが明るみに出て、議員辞職に追い込まれた。


 ムーア議員は、タムラを自宅に戻したあと、また別の仕事があるということで、すぐに地球キャンプを旅立った。


 その後、星間交流連盟より、今回の事件について、キャンプの運営スタッフに評価ポイントを与えるとの連絡があり、事件の解決と評価ポイント加算を祝って、スタッフのあいだで『トンネル事故事件解決お祝い』パーティーが開かれた。 

 いつ異星人が転送されてくるかわからないため、洋と転送業務担当者たちは、短時間だけ、交替で参加した。

 連盟の酒類摂取許可年齢に達していなかった洋は、連盟産の酒は飲めなかったが(本当は飲んでみたかった)、様々な星から購入された、異星の高級料理を腹いっぱいに食べて、満足した。


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