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密室から脱出したら人類滅亡してた

作者: あまみ


閉鎖的状況下における人の心理的負荷に対する反応の観測。

これが俺が受けている実験の名前だ。

我慢できた時間が長いほど報酬が多くなる。

部屋の中には最低限の食事とトイレ、監視用のカメラのみがあった。

契約では俺が限界を訴えれば、すぐに開放してくれるはずだった。


「限界だ!俺をここから出してくれ!」


しかし、いくらカメラに訴えようとも何の反応もなかった。

我慢の限界を迎えた俺はカメラや壁など至るものに当たり散らした。

腹立たしいことに、次の日には破壊したはずのカメラや傷つけた壁は何もなかったかのように元に戻っていた。

人のSOSは無視するくせに部屋の整備は行うようだ。

俺はそこでハメられたのだと気づいた。

俺の心が壊れるまでこの実験は終わらないだろう。

だが、簡単に奴らの思惑通りに進むことは許せない。

簡単に心をこわしてたまるか。

俺は心が壊れないように、研究者への怒りを抱きながら毎日脱出を試みた。


けれど、それが成功する日は訪れなかった。





長い年月が流れた。

心が壊れたふりなんかもしてみたが、出してくれる気配はなかった。

いつしか脱出ではなく物を壊すことが目的となっていた。

何を壊しても目を覚ますと壊したものが治っている。

これは誰かが俺を監視し続けている証明にほかならない。

俺は顔も思い出せない研究員と心理的なつながりを感じていた。

そいつは閉じ込めた張本人であるが、そんなことはもはや問題ではなかった。

俺を見てくれて、世話をしてくれる人がいる。

そう考えただけで孤独が和らぎ、退屈な日々も過ごすことができた。

しかし、そんな日々も突然終わりを迎えた。

壊したカメラが直っていなかったのだ。



地道にドアを破壊し部屋から出た。

髭も髪も伸び切っていたが気にならなかった。

実験室の外は妙に静かだった。

俺はとにかく誰かに会いたかった。

しかし、俺が見つけた研究員は全員死んでいた。

首吊りだったり、落下死だったり死亡理由は様々だったが共通点は死んでいることだ。

ここでは情報を得られないと考え、研究施設の外に出た。

真昼間にもかかわらず、人の気配を感じない。

俺はとにかく生きている人を探し続けた。

だが、あらゆる場所を探しても見つかるのは死体だけだ。

それも全て自殺のように見受けられる。


「どういうことだよ。。。」


もしかしたら、俺以外の人類全てが自殺をしているのではないか。

嫌な考えが頭を離れない。

何が起きているのか俺には理解できなかった。






最後までお読みいただきありがとうございます。感想も頂けると嬉しいです。



これだけで理解できる人がいるのでしょうか。

あまり時間をおかずに解答編となる続編を投稿する予定です。


※続編「ありふれたオーパーツ」投稿しました。合わせて読んでいただけると嬉しいです。



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