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始まり 7
電車に一緒に乗ったはいいけど…。
そんなに会話が弾むわけでもなく。
むしろ、まともに会話したの、今日が初めてなわけで…。
ぎこちない空気が続く。
車窓に映る美和のセーラー服と一ノ瀬の学ランをぼうっと見ていたところで美和の降りる駅のアナウンスが流れる。
「私、ここで乗り換えだから…」
「…ああ、また…。」
駅の通路を歩く。
ご帰宅ラッシュを過ぎた時間だ。
悪い人、ではないんだろうなあ…。
ただ、派手な雰囲気が近寄り難い。
構えてしまうのが正直なところ。
人がまばらな駅のホームで、美和は一ノ瀬とのぎこちない会話を思った。