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始まり 3
全員の自己紹介が終わる。
「運命…?」
茶髪くんがぼそっと呟く。
そうか、運命ですか…。
運命の相手でもいましたか、平和ですねぇ。
ていうか、授業中ですけど。
今の、クラスの大部分が聞いてたよな。
一ノ瀬くん…。
茶髪の、チャラい長身の人。
派手だけど、心の声、結構大きいのね。
今年は高校3年生。
S高の文理分けは3年生からで。
もう今年は物理や化学とはおさらばで。
文系クラス最高。
選択授業は古典にした。
志望校は教育大の国語専攻。
学校の先生になりたいって熱望しているわけじゃない。
ただ、女が働くには制度が整ってるし。
心理学もやってみたかった。
手に職持ってれば困る事は無さそう。
他に興味があるわけでもない私は。
母に勧められるがまま、教育大を目指して受験勉強をしていた。