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蝉鳴く頃 2
ざわめく店内。
この予備校には、様々な高校から人が集まっている。
おしゃべりを楽しむ人達。
カウンター席で勉強する人達。
食事をする人達。
美和はカウンター席で軽く食事を取ることもあれば、勉強をしていることもある。
静かな方が勉強には向いているのだろう。
でも、このざわめきの中で集中し、音が聞こえなくなる瞬間も、なかなか心地良いものだ。
今日は1人で来ていた。
美和は1人で予備校に来ることが多い。
香織と合流すれば、そのまま一緒に行動するけど。
必ずしも予定が合うわけでは無く。
お互いを縛るのも違う。
自分のペースで受験勉強を組んでいた。
でも、高校最後の夏休み。
受験勉強だけでは、寂しい気もしている。