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Hey jude 9
部屋をノックする音。
「まだ寝ないの?」
美和の母、鈴音がドアを開ける。
「うん…今日中に完成させておきたくて」
「受験生なのに本格的にやるんだ」
「んー、2年生よりショボい衣装は作れないし…」
「上手く手抜きしておかないと、後から大変じゃないの?体調管理も受験勉強のうち…」
「うん、わかったから。早めに終わるから。おやすみなさい。」
何とかして母親を追い出した。
受験生だったら行事楽しんじゃいけないの?
美和はイライラしながらミシンに向き合った。
さっきまで苦戦していた衣装。
母親への当て付けのように、衣装作成に集中した。
今日はもう、勉強する気にはならないや。