13/142
日常 5
一度LINEを無視した。
更にそこからずっと既読スルーしてみた。
私はあれから、羽田から逃げている。
察してくれただろうか?
特に実害は無いけど、でも苦行に戻るのは嫌だ。
梨花がうんざりした顔で溜息をつく。
「どうしたん?」
「羽田からLINEがしつこくて…」
なんと!
今度は梨花にLINEをしていたとは。
「ごめん、私、逃げたわ」
「羽田が矢崎さんからLINEが返ってこないって言っててさ。何故かLINE交換させられて、今LINE攻撃が…」
「LINE、返してるの?」
「来たら返すじゃん」
「嫌なら返さなくていいんだよ。それに気付いたの、私もだいぶ経ってからだったけど」
「ああ、そうか。返さなくても良いのか…」
教室からドア越しに羽田の視線を感じた。
「視線があろうが無かろうが、逃げるが勝ち、かな」
美和は梨花と羽田の姿が見えない角度まで移動した。