プロローグ
短めにしたいと思います。
幽閉されて数年――
意味もわからず、逆らえず日々魔法陣に向かい魔力を注いで暮らしていた。
平民で魔力持ちの私は「メイ」という名前、年齢はよくわからない、たぶん12歳くらい。
教会で育った孤児の私は8歳の時に魔力持ちだと判明して、厳めしい騎士達に連れられてここへやって来た。
手足に枷を着けてられ一日3回陣に魔法を注ぐように命令された、それがご飯の対価だと言われればやるしかなかった。
泣いても喚いても誰も助けてくれない、それだけは数日で理解した。
魔力を消耗すると疲れるし凄くお腹が空いた、なのでご飯はたっぷり貰えて味も教会で出された食事よりとても美味しい。
だから我慢してた。
我慢して我慢して……そしたらある日高熱をだし瀕死になったの。
流石に大人達は死なれたら困るらしく治療してくれた、ジャリジャリの石畳から粗末なベッドで眠れるように改善された。
それから病気になった時に己で対処できるよう治癒魔法を習った。
「いちいち面倒みれん、さっさと覚えろ」と神官と呼ばれる男が怒鳴った。私は怖くて必死に覚えたわ。
ヒーリングと言われる魔法を覚えたら急に体が楽になったよ。治癒魔法はいろいろ種類があって大変だった。
浄化魔法はとても嬉しかったよ、髪の毛が伸び放題でベトベトで固まっていたから。
色々学ぶうちに、私は平民の身だから「聖女もどき」なんだとその時知る。
聖女ってなに?
神官が面倒臭そうに「魔法陣に魔力を注いで国を護る結界を張るのが聖女なのだ。だが間違えるなお前はもどきだ」と言った。
魔法の勉強がぜんぶ終了すると食事係以外の人は来なくなったの。
怒鳴られても誰かと会話するのは嬉しかったのに……。仕方なく勉強のためのノートに仮の友人を描いた、絵に話しかけるなんて変人だと笑われそう。
「でもお話しないと、じぶんが壊れそう……ねぇそう思うでしょ?」
平面の友人は笑った猫、とうぜん返事はないそれでも私は安らげたわ。
それから夏のある晩、酷い頭痛にのたうちまわった。
痛くて吐き気がして治癒魔法をじぶんにかけ続けた、痛みが引いたのは一晩明けた頃。
そしたら私の知らない「私」の記憶が蘇ってたの!
頭痛は知識がドンドン溢れていたからだったのだと漸く分かった。
前世の記憶ってものだと思う、いま12歳の私には到底持てそうもない様々な知識。習ったこともない常識を知って私は歓喜したわ。
元の年齢は29歳、なんで死んだか?……とある病気で苦しんだ嫌な記憶が残ってた。
独身のアラサーのまま寂しく死んだと思われ。ゴメン母さん、看取ってくれてありがとう。
それと同時に現在の自分の立場と待遇に腹が立った、とうぜんよね。人間の尊厳ってものを踏みにじられて生きていたんだもの!
前世の私はとにかく勝気、いまの自分とは真逆だわ。幽閉したやつら許さん!
いつかここを出て復讐してやるからね!