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剣にも命が芽生える。
要素は変化を好む。使い続けた剣には要素が蓄積されていく。その中で命を宿すことがあるそうだ。そんなこともあるかもしれない。
ただ完全に自分で立っているのは予想外だ。
二足歩行している。
「その足どうなってんの?」
ここまできたら興味のままに聞く。
「ああ、主人がいない時、暇だったから生やした。」
「生えるものなのか....」
「まあ、なんなら完全に人型にもなれる」
「なれるのか?!」
「というか、武器買いに来たんじゃないのか?」
衝撃で忘れていた。
「そうだった。命ある武器も帰るのか?」
「流石にそれは買えないよ。ただ命の種がある武器なら買えるよ。」
「欲しい!!いくらだ?」
とにかく強い武器はあって困る事はない。
「多分アンタなら任せてもいいんだろうが、試させてもらってもいいかい?」
全身が人型になった。女だったんだな。関係ないが美女である。
ひとまずナイフを構える。
「いくよっ!」
女の腕とナイフが交わる。なるほど全身が武器になるのか。腕から複数の剣が伸びてくる。
リーチが読みづらい。ナイフで捌きながら考える。
観察する。動きに隙はない。達人というやつだろう。この剣の主人は相当な腕前なんだろう。
どこからでも剣が出てくるというのがまた厄介だ。
ではこちらも全身を武器に変える。
体全体を硬さに適応していく。組み変えていく。
ただこれでもまともに当たれば切り刻まれるだろう。
じゃあまともに当たらなければ良い。
目に集中する。未来の予測を行う。
右脚で蹴りを繰り出してくる。
爪先から刃が出てくる。
その後脛から複数の刃物が出てきて、それをナイフで受ける。
ナイフが砕け、拳が切り刻まれ、敗北する。
なるほどこの剣こんなに強いのか。未来を視てよかった。というか、マジで殺す気で来てるな。
次の行動を予測してもこちらが行動を変えるとまた未来は変わっていく。
じゃあ、ナイフを砕かせなけれ良い。
ナイフの強化をしていく。