8
俺は武器にはこだわる方だ。
崩壊してしまった世界は不測の事態だらけだ。それに対処するには道具には拘らなければいけない。
少し前は生身の体だけでどこまでいけるか実験してたが、道具があった方が何かと便利だという事に気付きこだわりまくるようになった。
エミリアにやった大剣の代わりになるものが必要になる。というかやるつもりは無かったけど返してと言いづらくなってしまった。次会ったとき返してもらおう。
あの剣はネストで手に入れたものだ。最新のAI技術が搭載されている。それがどんどん戦闘経験を蓄積して自分の体に合わせたより良い動きを計算してくれる。
正直戦闘技術に関してはあの剣に学んだと言っても過言ではない。何しろ戦った事がない一般人だ。体を作り変えていっても技術は学べない。
戦闘技術はだいぶ学んだから次は別のタイプの剣を買おう。
そんな事を考えながら移動していると目の前に町が見えてきた。
遺伝子の国ジーンだ。
遺伝子を組み替える事で適正を得ることを生存戦略として採用している国だ。
町に入って周りを見渡す。
ここには獣の耳や尻尾を持つ人達がいる。動物の遺伝子を取り入れる事で効果的に力を手に入れる為だ。
いつも思うが面白い国だ。
いろんな人がいろんな目的を持って集まる。特徴も全員違う。親子であっても見た目が違う。
そういえばこの国の武器屋には入ったことが無いな。
ちょうどよく目の前に武器屋がある。
ワクワクしながら武器屋に入るとカウンターに武器が立てかけられていた。
いや、武器が立っていた。
「動いてる。」
「そりゃあ、動くさ。生きてるんだもの。」
流石に武器に命があって、流暢に喋るとは思わないだろう。この世界にはもはや常識なんて無いのだと改めて思った。