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強化アーマーが外れたユキは美人だった。
アーマーをつけている姿しか見たことない俺には結構衝撃的だった。
とはいえアレンも白髪イケメンだ。そうなると妥当なのか。
とはいえ、やったことへの報いは受けなければならない。
指先へ力をこめる。
ビシィィ
デコピンの音が響き渡る。
ユキのデコにあったバリアは破り去られ、頭が後方に吹っ飛んでいく。
体もそれに釣られて飛んでいく。
10メートルくらい飛んだか。
「痛い痛い痛い痛い!!」
「まあバチが当たったんだよ。人のことばっかり言ってるからだ。」
意外とアレンはドライだ。
「引きこもるための努力は惜しまないのに、それを無駄にされたんだ当然だ。」
「なんでそんなに引きこもりたいんだ?」
「機械の体を手に入れるのも、遺伝子いじるのもあんたみたいな人外になるのも嫌なんだよ。俺はダラダラしていたいだけだから。」
「怠惰も欲望だからいいんじゃないか。それを邪魔するやつの方がどうかしてる。」
「その努力を打ち消したやつが目の前にいるんだが。」
「事情も知らんから仕方ないだろう。一番の悪は俺がさっき吹き飛ばしただろう。」
「あんた私を壊す気っ!!スクラップになったらどうするのよ!!」
最初はあんなに余裕そうだったのにかなり変わってしまったな。
「こうなったら、ネストの武器を全てあなたにむけるわ!!反抗なんてさせてやらないんだから!!」
追い詰められたことがないんだろう。逆上してしまった。
「いけっ、ラグナロク!!」
なんかすごいデカい大砲が大量にでてくる。全てが俺の方を向いている。
が、全く動く様子がない。
「何で動かないの?動けっ!動いて!!殺されるから!!」
なんか俺のことを相当物騒なやつだと思っていないか?
「物騒なのは本当でしょ。タカシさん。あと姉さん全ての武器のセキュリティ権限は実は僕が持っているんだよ。姉さんに持たせると良いことなんてないからね。」
ユキは呆然としている。
確かにこんなに暴走するやつに権限を持たせるわけにはいかないな。とはいえ、攻撃的なプログラムにおいてはユキが最強なのだろう。
今すでに新たな武器を作成しているようだ。
「面白い。」
ユキから外れてしまった強化アーマーが形を変えていく。
そして複製プログラム、強化プログラム、索敵プログラムが付け加えられていく。
みるみるうちに無限の武器に囲まれていく。
「いけっ!!無限ミカエル!!」
神話的なん好きなんすね。
剣や槍や大砲やレーザーなんかをぶち壊しながら考える。
いや、流石につええな。多分さっきのラグナロクってやつより強い。
武器は誰かの手に渡ると悪用される可能性が高いから制限しているんだろう。
「ナイフ、お前も増えろ。」
「そんなのできるわけ、いやっ、できたぁぁ!!」
とはいえ無限とはいかないな。5本くらいが限界か。
だがこれで十分だ。
投げて、受けて、ふるって、刺して、壊せれば十分だ。
投げたナイフは無限ミカエルとやらを次々と薙ぎ倒していく。
その間にもあらゆる攻撃が襲ってくる。それを受ける。受け流していく。
「だからっ!!あんた何もんなんだよ!!私が直々に最新にプログラム組んでんだぞ。何で倒せんだよ!!」
ふるったナイフは受けた攻撃を弾き返していく。
そして背後から回り込みユキのデバイスにナイフをさす。
鍵状になったナイフはユキのデバイスの防御機能を解錠する。
「だから、何度も言ってるだろ。俺は一般人だって。」
最後のナイフでデバイスを破壊する。
するとミカエルが動かなくなる。
わけではなかった。
「何壊してんのよ!!ミカエルの解除するにもデバイスがいるでしょうが!!」
「それはごめん。知らんかった。」
というわけでユキに文句もいえなくなった。