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まず偉い人もといユキが何者か。
ネストの最高責任者であり、ネストの根幹であるAI技術や国のロボット技術をほとんど一人で作り上げた。
とはいえ、ユキは攻めるのは得意でも守る技術を作ることがあまり得意ではない。
そこで弟である青年がネストを守る空間を作り上げた。
ゲートなどの技術は青年が作ったらしい。
とはいえ青年は生身の人間だ。機械化などはしていない。
そして青年ののぞみは引きこもりたいという一点だけだった。
なのでユキとネストを作り上げた後時代遅れのノートPCでこの空間を作り上げ、ひたすら引きこもっていたらしい。
「あなたの力が必要になったのよ、アレン。侵略者がネストを標的にしているわ。今の防御じゃ、間に合わない。派兵隊でこちらから世界の危機をぶち壊すのは私の分野だけど、守るのはあなたの分野よ。」
アレンと呼ばれた青年は口を開く。
「それくらいわかっているし。もう対策はしているよ。アップデートはしているし、セキュリティを強化はしていた。引きこも流ために先手は打っていたよ。でも、それ以上にやばいのはそのタカシとかいう男の方だよ。」
なぜかこっちに矛先がむく。
「万全なはずの空間アップデートを改変された。というか侵略者とかタカシにかかれば瞬殺なんじゃないの。」
「タカシをいつまでも縛り付けて入れるほどネストには力はないわ。こうやって一瞬なら付き合ってくれたりするけど、一般は自由を奪われたりはしないと言って聞いてくれないわ。というかこの一瞬のためにかなり色んな策略も必要だし。」
「流石に俺もそこまで人でなしではないぞ。友人?の危機には駆けつけるぞ。」
「そこは素直に友人でいいの。でもあなた常に何かに巻き込まれてるじゃない。そのタイミングでネストに危機がきたらどうしようもないしね。」
それは言い返せない。
「というか姉ちゃんにアップデートしたというメッセージは送っていたはずなんだけど。こんな無茶苦茶なことをされないように。人のこという前に自分もなおしなよ、そういうところ。」
「えっ?本当だ。通知がカンストして気づかなかった。」
とりあえずこいつには仕置きが必要だな。
アレンがキーボードを必死で叩いている。申し訳ない。
ユキはまた機械の体を震わせる。あっ、震えすぎて強化アーマーが外れた。