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どこかで悲鳴が聞こえた気がした。
こんな場所に普通の人間は来ないはずだ。ここに元々いた人間はもう全滅しているはずだ。
「誰かっ、誰か助けて。」
やはり悲鳴で間違いない。
「助けてっ。」
人の言葉を話せるタイプの魔獣か?それともどこかのはぐれものか。
こちらに近づいているようだ。
「助けなさいって言ってるでしょうが!!」
少女がドロップキックをかましてきた。なかなかの動きのキレだ。というかこんなに元気なら助ける必要もないのでは?
「いきなりキックでの挨拶か。どこの人間だ?」
俺は少女の姿を見ながら問いかける。
「ネスト所属の派兵隊よ。といっても実戦は初だけどね。敵が来るから話は後。大型のワームよ。武器があれば余裕なんだけど転送装置を破壊されてね。任せてもいい?」
大型の武器は持ち運びが不便だから転送装置で持ち運ぶことが多い。転送装置を破壊されたら一瞬で詰む。
「というか断ることもできなさそうだけどな。既に目の前にいるし。」
既にワームが俺に襲いかかってきている。なんで俺なんだよ。そんなに弱そうか?
なんて考えながらナイフを構える。
「大型ワーム相手にナイフ?他に武器はないの?大丈夫かしら。」
こいつ失礼だな。ワームの弱点は8つある目だ。まずはそれから潰しにいく。
体をスピードに最適化していく。体の組織が組み替えられていくのを感じる。
ワームの動きがだんだん遅く見えてくる。
食いかかろうと頭が近づいてくる。集中する。狙うは弱点である目のみ。
すでにワームは目の前にいる。
「捉えた。」
ナイフは目を貫きワームは力尽きた。
「これで文句はないか。」
顔を上げ少女に言う。
「武器転送にはある程度時間がかかるから、ナイフとか携帯武器の練度は上げておいた方が後々楽になるぞ。」
一応人生の先輩としてアドバイスしておく。
大きな武器を転送するには10秒程度の時間がかかる。
そんな時間があるなら軽装備で倒せるやつは倒してしまった方が楽だ。
「いやいやいや、あんた何者?私ほとんど見えなかったわよ。」
どうやらかなり驚いているようだ。
見た目はかなり弱そうなのは自覚しているが、それでもその驚き方は少し傷つくな。
そもそも重装備をずっとしていたら暮らしにくいだろう。
「機械化しているならこれくらいは見えるだろう?それとも粗悪品を売りつけられたか?まあ俺は完全に生身だからここまでなるのに苦労したけどな。」
ネストは機械工業の国だ。人口の8割が完全機械化をしているし、派兵隊ならなおさら全身機械化をしているだろう。
「機械化はほとんどしていないの。特に神経や脳に関わる部分に関しては、それ以外の補助部分だけよ。だから隊の連中に見捨てられたのよ。ここの環境でしばらく適応できずに動けなかったから。」
外界は汚染されているから普通の人間はしばらくは呼吸すらままならない。
それでも人間は進化することで適応する。崩壊時にすべての生き物の遺伝子に要素が加わった。
それによって崩壊したともいえるが。
「ネスト所属の兵は全身機械化するんじゃないのか?」
「私は特別。入隊テストで手に入れた機械の体を別の人に譲ったからね。というかあなたこそ何者?生の人間でどこかの所属部隊でもなさそうだし。」
「崩壊した世界で暮らしている一般人だよ。」
「意味わからないんですけど。」
別に意味を求めてないからいいだろうと言ってもまた突っかかられるんだろうなと思い適当に流すことにした。
初小説となります。拙いところも多いと思いますがよろしくお願いします。
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こうやったほうがいいとかあったら教えてもらえたら嬉しいです。
【急募】勇者スタッフ募集 時給1000円 未経験歓迎 という小説を書き始めましたのでそちらもよろしくお願いします。