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コンクリートの亀裂から(千鶴)

作者: 狼花

 マンションの駐車場の隅にあるコンクリートの亀裂から

植物が芽生えている

・・・長生きするわね。この植物・・・

私が覚えてる限りだと茎は半分くらいだったような


 植物は愛情を注いで大きくなるというけど

こういうコンクリートの亀裂や水のない道路の排水溝で生きている植物は

誰の愛情を受けているのだろうか。

・・・それにしても大きくなったわね。なんという植物かしら・・・


 誰の愛情も受けずに育つ命もあるのね

人間は支え合わないと生きてはいけないのに……

聞いた話によると植物の成長に伴う根っこや茎の肥大化はすごく力が強く

コンクリートを割るのだという。

植物はある意味で人間より強いのかもしれない。

この名も知らない植物の生命力には感心しちゃうわね


 「ただいま」

「おかえり」

桃花はテレビを見ながらスナック菓子を食べている。

・・・そういえばこの子、1人で留守番するようになって

      もう一年くらいなるのよね・・・

あの植物はいつからあそこにいたのかしら。

「あんた、うちの駐車場に生えてる植物知ってる?」

「知ってるよ。大きくなったよね」

「誰か水やりをしてる人がいるかもね」

「お母さんわかんないの??」

「何が?」

「あの植物が生えてるとこ都合がいいんだよ」

「どういうこと?」

「わかんないんだ」

ニヤニヤと笑みを浮かべる桃花

何よ私がわからないということがそんなに嬉しいの?

「排水管が近くにあるんだよ」

なるほどそれで水が行き渡るのね

それにしてもあんたのニヤケ顔、ムカつくわね。

「でも、日照り続きだと枯れていたのかもしれないわ」

「運がいいんだよ、私と一緒で」

なら、その運で宝くじを当ててきなさいよ


 でも、あの植物のようにあんたにはたくましく育って欲しいかな


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