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思い付きで更新する、どこかにいそうな誰かの物語。  作者: どこかにいそうな誰かの代わり
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【0008】ヨシロウ 0007

「ああもう、ビールがこんなにこぼれたじゃないか。ぼーっとしてないでティッシュ持って来てよティッシュ!」

 ヨシロウは、まるでトモミがビールをこぼしたかのような声をあげた。

 トモミは我に返り、慌ててティッシュの箱を持って来る。

「ほら、ぼーっとしてないでトモミも拭いて!」と言いながら、ヨシロウはティッシュを何枚も引き出してテーブルの上を拭いている。


 トモミは言われるままに床を拭きながら、まだ混乱していた。

 さっきのやりとりのどこに、自分の過失があったのか、彼女にはどうしてもわからなかったのだ。

 しかし相手は年上で、しかもやり手の営業マンだ。コミュニケーションのプロである彼の対応が間違っている可能性は低いはず……トモミはそう考えていた。

 頭の中で会話を何度も反芻するが、やはりわからない。


 ただ、彼の話の腰を折るのはどうやらあまり好ましくないことらしい、ということだけは覚えておこうと思った。



 ビールのニオイはティッシュで拭いた程度では取れず、トモミはキッチンから濡れ雑巾を持って来て床を拭いた。

 テーブルの方はヨシロウが「気にしなくていいよ」と言ったので拭かなかったが、こぼれたビールの大半はテーブルの上だったため、やはりまだ(にお)う。

 しかしここでまた口を挟むとヨシロウの機嫌を損ねるかも知れない、と考えると、トモミが我慢するしかなさそうだった。


「結論を先に言っちゃったからもう面白くもなんともないけどさ」

 新しい缶ビールを冷蔵庫から出して来たヨシロウは、ソファに座り直しながら口を開いた。さっきのビールは「きっと気が抜けて不味くなってる」と言って、彼が自分でシンクへ下げたのだ。

 トモミは大人しく話を聞くことにして隣に座った。


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