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思い付きで更新する、どこかにいそうな誰かの物語。  作者: どこかにいそうな誰かの代わり
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【0005】ヨシロウ 0004

 信号待ちのタイミングで、恐る恐るトモミは問うてみた。

「お財布落としたって……大丈夫なんですか? あの……警察にはもう届けました?」

 相手が言いにくそうな話題に水を向けようという意識も多少あった。

「実はゆうべ接待があってさ」とヨシロウは彼女の問いに答えず話し始める。

「まぁ接待はいつものことだけど、昨日は他社の部長さんと一緒でね」


 トモミはヨシロウから時々、営業の仕事の話は聞いていた。当然だが業務内容そのものではなく、いわゆる営業職の苦労や接待についてが多かった。

「うちの部長と俺の二人で割烹をセッティングしてね、そこは予約の時点で経費を清算してるんだけど、二次会は俺ひとりに任されたんだ。だからうちの課の行きつけのキャバクラで……」


 気難しい相手の接待だったが、店に融通してもらってその部長のお気に入りの女の子を隣につけたのだという。

 ヨシロウは酒を飲むのが好きなので、こういった『飲みニケーション』は得意な方らしい。トモミも、彼に宴会を盛り上げる才能があること、耳当たりのいい言葉で相手を上手く持ち上げることはよく知っている。

 接待が苦手な若い営業にも懐の深い先輩である、という一面もトモミは話に聞いていた。


「前にも話したけど、こういう時はまず自腹で負担しなきゃいけないんだよね。それで、給料日直後だったから半分くらい引き出して、予算をいつもより多めに持って出たんだ。その三分の一くらいを接待に使ったんだけど――」

「その帰りに落としたんですか?」

 会社で行く居酒屋でさえ、時には一万近い負担になるのだ。

 キャバクラが居酒屋と同じ程度の料金で済むわけがないことは、行ったことのないトモミでも理解できた。


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